ファロー四徴症 sub.黒 ページ38
樹side
激しい雨が地面を打ち付け、蒸された世界でじっとりと汗が張り付くような夏の候
相も変わらず、頭痛とめまいと息苦しさを誤魔化すために、いつもの場所に足を運んだ。
「なんか……毎度ほんとすみません」
養護「何言ってんの。そのための場所なんだから、笑 」
苦笑いしか出てこなかった。
養護「うーわ、まぶたが真っ白。キツかったねぇ……熱は無いか。
どう？1時間寝て復活しなければ早退だけど……」
「や、早退は嫌っす！だって今日………」
養護「知ってる。放課後、英語科のスピコンのリハだもんね〜？」
にやりと俺を見る養護教諭の「からかってます」と言わんばかりの顔が、持病とは違う理由で俺の心臓を狂わせた。
「あ〜〜〜！！もういいです、おやすみなさい！！」
頭まで布団を被り、ふうっ、とひとつ呼吸を整えてホットタオルを目に被せた。
【大きくなるとちょっとだけ症状が出るかもしれない、でも大丈夫だよ】
幼い頃、医者に言われた言葉。
最後の手術のときだから多分、5歳。今でも鮮明に覚えている。
それはきっと、幼い頃から少しだけ運動を制限されているからだろうか。
昔から、体調を崩しやすいからだろうか。
こうやって、時々症状が出るからだろうか。
「ん゛……苦し。ふぁぁ……」
苦しさから逃れようとする防衛本能なのか、このカーテンに仕切られた空間に安堵したのか、なんだか眠たい。
絶対に次の時間は教室に戻ると熱い信念のもと、まぶたを閉じようとしたところだった。
保健室の扉が乱暴に開き、息を乱し誰かが入室してきた。
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しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
