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慎太郎side
6月13日、樹が亡くなった。
樹が二十歳になる2日前だった。
葬式は本当に小さく執り行われて。
樹のママがぐったりと泣きはらしていたことと、あまりの突然のことだったので泣くに泣けなかった。
焼香する時も、火葬され骨上げをしている時も、なんだかふわふわとした気持ちでならなかった。
樹がもうこの世に居ないこと、それを理解できなかった。いや、したくなかった。
無事に葬式も執り行われ、岐路を歩いた時も、どうやって帰ったか覚えていない。
ただ、母曰く目に光がなく憔悴していたらしい。
なんだか大学に戻る気も起きなくて、なにか目的を見失った気がして実家の部屋から出られなくなった俺は大学を休学した。
最後に撮ったあの写真を待ち受けにしているからスマホも見れなくて、外界を遮断して気がついたら1ヶ月ちょっと自室にひきこもっていた。
ふとカレンダーを見たら7月29日。樹の四十九日まであと1日だった。
「……はぁ」
やはり受け止めきれなくて、あの日から１回も線香をあげに行けていなくて。
ピカッと光ったスマホ。恐る恐る手にしてみると樹のママだった。
樹の四十九日を前に、遺品整理をしたいので手伝って欲しいとこのと。
もしかしたら、何かきっかけを探していたのかもしれない。
怖かった。ｷｭｯと呼吸が苦しくなった、でも俺は樹の家に向かった。
ちゃんと樹を供養したい、もう1回、またねって言いたい、だから。
樹の家に着くとやはり少し憔悴した樹のママがいた。
しばらく遺品の生理をしていると、涙で目を赤くした樹のママが、おもむろに1つの缶のケースを差し出してきた。
樹母「樹が、慎太郎くんにって。
よかったら見てあげて」
「………っ、はい」
恐る恐る開けたその缶ケースには、樹の溢れんばかりの気持ちがはち切れんばかりに詰め込まれていた_______________。
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しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
