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慎太郎side
……
樹母「おめでとう！！頑張ってね！ちょっと寂しくなるね笑」
「ありがとうございます！また……遊びに来てもいいですか？」
樹母「もちろん！樹も喜ぶと思う！立派になって帰ってきてね。でも無理はしないこと。いつでも連絡してよね〜」
樹のママはもうすっかり、俺の第2の母のようになっていた。
県外の教育大学に進学すると報告できたのは、卒業式の数日後のこと。
受験に苦戦していて、その度に樹のママに励ましてもらっていたから。
そしてその度に、樹の顔も見に行っていたから。
合格発表のその場で、どうしても樹のママに電話したくなった。
樹の顔を見る度に、何度も何度も鼓舞された。
病気が進み、動くことも、表情を顕にすることも段々と難しくなって、いつからかボーッと壁や天井を眺めているようになった彼だけど。それでも、
「今日、このままおうち行ってもいいですか〜？！ ここ最近会えてなかったから、樹に会いたくて！」
樹母「もちろん！待ってます。」
会いたい。話したい。自分の口から、直接伝えたい。
だって樹は樹だから。樹のおかげで、今の自分があるわけだから。
______________________
「樹〜来たよ〜！」
ソファに腰かけて、少し眉間にシワを寄せているが凡そ無表情の樹がいた。
病気の進行なのか気持ちの問題なのか、もう殆ど表情を顕にすることが無くなった樹。
偶に起こるてんかん発作でしか顔の変化がないことが、少しだけ胸を締め付けている。
「樹〜、今日な、川島が彼女と別れたんだって。振られたんだとさ笑」
やはり表情は変わらないけど、不規則に動く右手がきっと、彼なりの相槌なんだろう。
今日も他愛のない話を俺が一方的にしゃべり続ける中で、大学合格の報告をした。
「喜んでくれてんの、ありがと」
やはり不規則に動く右手だったが、気持ち大きく動いたような気がして、また更に報われたような気がした。
樹母「樹〜、慎太郎くん暫く家に来れなくなるの。県外で頑張るそうよ。すごいよねぇ。
あ！そうだ！私にいい考えがある！」
俺の隣に座っていた樹のママが、ふと徐にポッケからスマホを取り出して立ち上がり、玄関の方へ走った。
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しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
