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慎太郎side
抵抗する樹、飲ませようとする俺と樹の母。もう何分攻防が続いただろう。
毎度の事ながら疲弊する。でもいつもならこれぐらいしたら諦めて飲んでくれるはずだった。
何故か今日は一向に飲まない。
どうしようか……と、樹の母と顔を見合せた時だった。
「え、樹？！」
俺の胡座にすわる樹の頭が、くたっと俺の肩に落ちた。
てんかん発作だ。
「やばい。お母さん、来る！タオルとマットお願いします！」
「びっくりしたね、横になるからちょっと待ってろよ〜、」
諸々のものはお願いし、樹を横にしようとしたその時だった。
ヒクヒクと過剰な呼吸が左耳………俺の肩から聞こえてきた。
ふとそちらに目を向けると、樹が泣いていた。
一生懸命、振り絞るように、わんわんと泣いていた。
樹「っ、_______」
樹の声は濁っていた。でも
その時彼はかすかに聞こえる声で、はっきりとこう言った
“怖い” と__________。
一言そう言って、俺の肩で泣き崩れた。
声を上げて、スタッカートを尚弾けさせたかのように
しがみついて泣き崩れた。
「じゅっ……り…………」
俺はなんだかよく分からない衝撃を受け、その場に呆然としてしまった。
胡座に樹を乗せて、肩で泣き崩れる樹が目の前にいるのに、何も出来なかった。
“怖い________” 何が怖いのだろう。
動かなくなる四肢のことだろうか
話せなくなることだろうか
いつ起こるかわからないてんかん発作のことだろうか
胃に直接繋がった管のことだろうか
それとも薬の_______________
分からないことがどんどんと増えていくことだろうか
「分からない」と「知りたい」が頭の中で無限ループをし、ようやくひとつの答えが出たような気がした。
「ねぇ、樹。ちょっとだけ俺の話聞いてくれない？」
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しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
