. ページ28
樹side
在宅になったからって何か変わった訳でもなくて、否、俺の日常は180°変わってしまった。
あと一歩、あと一歩が上手く踏み出せない。何かにつかまらないと歩けない。
母「樹、これなら食べられる？」
「ありがと、大丈夫」
食卓に置いてもらった晩飯は、粥を限界まで薄くして、そして濾した重湯。 そして栄養不足を阻止するためのプロテイン。
病気が発覚してから正常な食欲が湧かず、どうせ噎せてしまうならと液状のものしか食べなくなった。
元々食事がそこまで得意なわけでもなかったから。
これから、全く歩けなくなって、今以上に飲み込むことが辛くなって、もっとてんかん発作が強く出て、もしかしたら知的障害なんかも出始めるかもしれない。
考えれば考えるほど怖くなって、“苦しい”なんて安直な言葉じゃ片付けられなくて。
ママに見られないように、と夜ベッドの上で一人で泣いた。
「っごほっ、んんっ、………」
泣きすぎたのか、病気なのか知らないけど呼吸が苦しい。
結局その日はほぼほぼ寝られなかった。
「どうしよう…………」
寝られなかった理由にはもうひとつあって。
病気が発覚して、高校を中退してからずっと、慎太郎の連絡を無視していること。
ひっきりなしにﾋﾟｺﾝﾋﾟｺﾝと鳴る通知は嬉しくて、そして嫌だった。
気がつけば慎太郎だけで通知が70。俺は最低だから。でも、これ以上無視してはいけないとも分かっていた。
辞めた理由は慎太郎は知らないはず。それも伝えなきゃいけない。でも、でも…………………
【LINE無視してごめん。明日会えるかな？慎太郎に伝えたいことがある。家は_______だから、嫌じゃなかったら来て欲しい。】
寝不足で頭が回ってなかったからなのか、もうどうでもいいやという気持ちが優勢で、深夜4:12 気がついたらそう送っていた。
これだけ打つのに5分もかかった。手が重たくて、震えてて。
慎【いいよー！プリングルスでいい？？】
やっぱりこいつは底抜けに“いいヤツ”だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
