恋は甘くない。(黄) (ページ7)

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アイドルデビューをする前の彼と付き合っていた時、一時期毎日のように顔を合わせていた、彼以外の、5人のメンバー。

彼と別れてから、当然、その人たちに会うこともなかったのだけれど。

あれから4年ほど経つけれど、既に当時大人だったわたしたち。顔が変わる訳でもないし、よほど印象が薄くなければそりゃわかるわけで。

深「え？！やっぱりそうだよな？！」

宮「久しぶりだね」

佐「ほらぁ！俺言ったじゃん！」

阿「打ち合わせの時からそうじゃないかと思ってたけど。」

渡「なんで目合わせてくれなかったんだよ」

各々思っていたことを口にしていく。…いや、知ってるんだよね？お宅のリーダーに、思いっきりわたし、振られてるんですけど。

そしてそんなメンバーを他所に、頭がハテナになってる人たち。

…確か、あとからメンバーになった3人だよね…。

そうだよね、今日が初めましてだもんね、あなたたちは。

向「え、さっき打ち合わせしてくれた人やんな？」

目「…みんな知り合いなの？」

ラ「ええ、なんか僕たちだけ知らない感じ？！」

…うん、騒がしい☆

佐「いや知り合いっていうか、ひか、」

佐久間くんが何か言いかけたタイミングで、エレベーターが目的のフロアにつき、扉が開く。

…良かった、この空間、ちょっと気まずかったから。

「あ、わたしはここで」

そそくさと降りようとすると、なぜだか彼らも降りようとしていて。

「え、ここ？」

深「あ、そうそう。せっかくだからここのレストランで食事してこうかってなったんよ。」

な？って深澤くんが、唯一まだ一言も発していないその人に話しかけていて。

岩「…あ、うん」

渡「なんか照今日おかしくね？」

佐「そうだよな！せっかくAちゃんいんのに！」

ああもう、やめてくれ。

その人が絡むとわたし、胸がギュッて痛くなるから、。

わたしは今このホテルの従業員で、本来ならばお客さんより先にエレベーターを下りるなんて、してはならないのだけど。

どうしようも出来ないこの気持ちが苦しくて、急いでるからと、ペコ、と申し訳程度に頭を下げ、その場から立ち去った。

後ろからわたしの名前を呼ぶ声が聞こえるけれど。

振り返ることなんて、出来なかった。