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岩「…ねぇ、煽ってんの?」
「…熱のせい」
岩「じゃあもうずっと熱出してて」
ちゅ、と軽く、キスをしてくる。
「…それは酷くない?」
岩「…それもそっか」
ふふって、2人で見つめあって笑う。
岩「…ねぇ、体温計ある?」
「体温計?あるけど…」
ベッドの横の棚を指さす。
岩「37.5℃以下だったら、していい?」
…していい?何を?
きょとんとしていると、棚に手を伸ばし体温計を取ってくれて。
はい、と体温計を渡される。
岩「測って。今すぐ。」
ええ…?急になんかめんどくさいじゃん…。
ゆっくり起き上がり、頭がぽわーっとする中、熱を測る。
ピピッと音がして、その体温計を脇から取り出すと、すぐに照がそれを奪い取って。
「え、」
まじでなんなの…?
その数値を見て、しばらく固まる照。
そして、ちら、とわたしの方を見て。
岩「…ねぇもうさぁ………」
はあーって、わかりやすいため息。え、まじでなに?
そして、ゆっくりわたしをベッドに寝かせ、布団を掛けてくれる。
照が、体温計をわたしに渡してくれて。その数値を見ると、
「…38℃」
まあまあ熱あるね。だってぼーっとするもん、頭。
岩「…なんでこんな熱あんの?」
「ええ?知らんよ。」
んははって笑うと、それに釣られて照も笑って。
岩「…熱下がったら、もう我慢しないからね」
「だからさっきからなんのこと…?」
熱のせいなのか、理解力が乏しくなってる。のか?
岩「…熱のせいで何も覚えてないっていうの、なしね」
…なんか、よくわかんないけど。
「…ずっと熱出してようかな…?」
いつの間にか、冗談まで言えるようになってて。
なんで照がここにいるのか、よくわかんないけど。
モヤモヤだらけの気持ちが、一気に晴れた気がする。
わたし、やっぱり、。
「…照」
岩「ん?」
照の手を、ぎゅって握って。
「…好きだよ」
頭も気持ちも、ぽやぽやする。
照はわたしの手を、ぎゅっと握り返してくれて。
岩「…なんで今言うのかなぁ…」
もう、って、苦笑いしてるけど。
岩「…熱下がったら、覚悟しといてよ?」
わたしの頬にちゅって、キスしてくれて。
なんだか、安心したのか、一気に眠気がくる。
「…ひかる」
岩「…寝るまで、ここにいるから。」
「…もう、離れないで…」
なんだか今日は、正直になれる日なのかな。
岩「…もう離さねぇよ」
これはきっと、熱のせい。
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作者名:みらくる | 作成日時:2024年3月29日 17時