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とりあえず、気持ちを落ち着かせるために目の前にある自分の頼んだカフェラテを一口。
…うん、味が分からない。
ちらちらと何度か彼の顔を見るけれど、その度に目が合う。…多分ずっと、わたしのこと、見てる。
わたしが彼に頼んだ飲み物を、彼も飲む。
岩「…美味し」
きゅって細くなる目。その見た目とのギャップに、きっとファンの子は虜なんだろう。
岩「…飲み物、頼んでくれてありがとう」
「え、あ、…うん。」
岩「…嘘なんだろ、結婚するとか」
…まあもう、誤魔化せないよね。
「…ごめん」
岩「…なんでそんな嘘ついたの？」
「……。」
なんで、なんだろう。よく自分でもわからない。でもただ1つ言えるのは、
「…会いたくなかった」
岩「え？」
「…あなたに、会いたくなかった」
真っ直ぐ目の前にいる人の目を見ると、驚きと、悲しみと、そのどちらとも捉えられる表情をしていて。さっきまでわたしをずっと見ていた目が、スっと伏し目になる。
岩「…そうだよな。…、ごめん」
「…昨日、電話でも話したけど。…ある程度の事情は、深澤くんから聞いた。…嘘ついてるようには思えなかったから、多分、ほんとのこと話してくれたんだと思う。…でも、。……深澤くんから聞いた言葉じゃ、わたしにはなんの意味もないの。」
あなたからの言葉が欲しかった。って。
嘘みたいに、自分の本音を口に出せて。
もうこうなったならいっそ、言いたいこと、思ってることぶちまけて。…スッキリして、帰ろう。
岩「…良かった」
「…え」
良かった？何が？このタイミングで？何が？
岩「…結婚が嘘で、良かった」
今にも泣きそうな目で、微笑んでくるから。
その顔が、わたしの心をギュッて締め付ける。
「…今更だよ、そんなこと言われたって、。」
もう、わたしは、あなたのことなんて、。
気づけば、涙が零れ落ちていて。
もうたくさん、あなたのことで泣いたはずなのに。
なんでまだあなたのことで、涙が出てくるの。
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作者名：みらくる
| 作成日時：2024年3月29日 17時
