恋は甘くない。(黄) (ページ3)

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「っはぁ～」

優希「ふは。ため息ばっかつくなよ」

レストランでの業務を終え、帰路につく。

マンションの方向が途中まで同じなので、勤務が被った日には一緒に帰るルーティンだ。

…とはいえ。

「ねぇ、いいよもう。1人で帰れるから」

優希「え？いや別に途中まで一緒なんだからさ。別にいいだろ」

「…だって好きな子いるんでしょ？見られたらどうすんの」

そう、優希には好きな子がいるのだ。同じレストランのホールスタッフの可愛いアルバイトの女の子。

優希「別にどうもしねぇよ。同じ店で働いてんのもお互い知ってんだから。」

「そりゃそうだけど」

優希「一応お前女だぞ？夜暗い中帰んのあぶねぇじゃん」

そう言って、付き合ってる頃から毎回一緒に帰ってくれる優希。…見た目も中身もいい男に違いないんだけれど。

「そりゃどうも。」

優希「お前もそろそろいい人見つけな？そうすりゃ俺のこの役目は終わるんだからさ」

「すいませんねモテなくて」

優希「ははっ嘘嘘。いい女だよお前は」

まあ俺には合わなかったけどね、って。

「それはこっちのセリフです」

お互い、同じパティシエとして長くやってきた分、仕事仲間という認識が強すぎて、恋人としては上手くいかなかった。

それでも今もこうして気まずくならないのは、やっぱり仕事仲間として大切だからだと思う。