17 ページ17
次の日。昨日電話で言われた、17時。
…を、既に、30分。過ぎている。
優希「…いいのかよ。行かなくて」
結局、偽結婚相手に選んだのは、優希。…というか、昨日の今日でこんな話を引き受けてくれるのは、優希しか思いつかなくて。一応元カレだし。今から会う相手がアイドルってことも知ってるし。色んな条件をうまくこなしてくれるのは、もはや優希しかいなかった。
…けれど。
「…やっぱり、会えない」
こんな形とはいえ、さすがに、気まずくて。もう二度と会いたくなくて、もう二度と会わないと思ってたから。
優希に話を合わせてもらい、打ち合わせまでしたのに。いざ時間が近づくと、心臓のドキドキが、痛くて。
そんなこんなで、30分、指定された時間を過ぎた。
…いや、そもそも、ほんとにいるかなんてわからない。わたし昨日、結構酷いこと言ったもん。しまいには結婚するなんて嘘までついて。アイドルに向かって言うセリフじゃないこと、沢山言ったもん。
優希「…とりあえず、岩本さんいてもいなくてもいいからさ。珈琲飲みたい」
手首を掴まれ、指定されたカフェへと連行される。
時刻は待ち合わせ時間を、1時間過ぎていて。…さすがに、いないよね。
カフェへ入る。と、不思議なくらいに、真っ先に目に飛び込んできた、ある男性。
優希「…さすが、オーラ出てるわ」
「…なん、で」
もう、1時間過ぎてるんだよ？なんで…
率先して優希が、その人のいる席に近づいて。
ふと、その人と目が合う。
目深に被ったバケットハットとマスクの間から見える瞳が、少し細くなって。かと思えば、目線がわたしから優希にうつり、一気に眉間にシワが寄って。
…飼い主にはニコニコ愛想振りまく大型犬が、知らない人間に対しては一気に威嚇するような、まさにあんな感じ。
優希「すいません、お待たせしました」
岩「…どうも」
なんだか変な光景だ。元カレ�，噺汽�レ�△�いるんだもん。…カオス過ぎる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1050人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みらくる
| 作成日時：2024年3月29日 17時
