恋は甘くない。(黄) (ページ15)

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岩『…てかさ、ちょっと気になったんだけど…ふっかとなんかあった？』

「…え？」

岩『いや…電話、ふっかと間違えてたっぽいから…』

「…あー…」

これは、どう説明したらいいのか。いや別にやましいことなんてないし、というか例え深澤くんとやましい関係(？)であったとしてももうこの人には関係ないじゃん。そうじゃん。

電話番号の紙を渡されたこと、今日カフェで打ち合わせ兼わたしたちのことを聞かれたこと、そしてそのお礼に電話をしようとしたらあなたの電話番号だったこと。その全てを話した。

岩『…そっか。話、聞いたんだ』

「…うん。全部聞いた。…あの時の、ほんとのあなたの気持ち、とか。」

岩『…A、あのさ、俺、』

「でももうそんなの関係ないから。」

岩『…え？』

「…あの時の気持ちとか、ほんとはこう思ってたとか。…もうわたしには、関係ない。あの時の、苦しかった気持ちはもう、そんな言葉じゃ…忘れることなんて、できない、から、。」

あの時はああだった。

本当はこう思ってた。

そんな言葉で、過去のわたしの気持ちが、今までのわたしの気持ちが、報われるわけなんてないから。

岩『……好きな奴、いんの？』

今までの優しいトーンから、一気に声が低くなって。

恋人どころか、好きな人さえいない。…けど。

「…結婚、する」

こう言えばきっともう、わたしのことなんて、興味なくなるだろう。仕事以外に関わりを持つことなんて、してはならない。…ましてや、そこに恋愛の感情があったら、尚更。

岩『…けっ、こん』

「うん、結婚」

岩『…けっこん……』

…いやそんな落ち込む？！

電話越しでもわかるくらいに、あからさまに落ち込んでいる。………なんかわたし、悪いことした気持ち。…いやいやいや。わたし、振られたんだから。もうあなたのことなんて、忘れたいんだから。

「…だから、あの、もう」

岩『…誰？』

「…え？」

岩『相手。誰？』

………誰？なのかは、わたしにも、わかりませんよ？←