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「…え」
胸がドクンとする。
…あれ、これ、深澤くんの番号じゃ、ない？
電話を切りたい。
そんな思いがあるのに、体が、動かなくて。
『…A？聞こ、える？』
電話の相手も、こちらの様子を伺うように、ぽつりぽつりと話していて。
「…あ、の。」
『…A…俺、…照、だけど』
その名前を聞いて、また胸が、ドクンと痛む。
岩『…元気そうで、良かった』
数日前も聞いた声だけど。耳元で聞こえるその声が、優しくて、辛くて。
言葉を話そうとすると、泣けてきそうで、話せない。
岩『…会いたい』
なんでこの人は、わたしの気も知らないで、。
今日の深澤くんのこともあって、この人のことが余計に、頭から離れなくてしんどいのに。
気づいたら、。
「っ勝手なことばっか言わないでよ、！」
口からどんどん
「わたしが、っどんな気持ちでいたのか…っ」
言葉が溢れていて。
「ずっと待ってたのに…っなにも連絡くれなかったのは…そっちでしょ…っ」
溢れてくる言葉を、止めることが出来なくて。思っていた気持ちを全部、吐き出した。きっと、汚い言葉も使ってたと思う。…それでも、彼は。
岩『…ん。うん、ごめん、そうだよな。』
何も言い返さず、ただただ、相槌を打っていて。
それがまた、イライラする。…イライラして、そして、昔の喧嘩を思い出す。…昔から喧嘩すると、わたしが一方的にイライラして、彼はそれを…静かに受け止めてくれてたっけ…。
「…っなんか言い返せばいいじゃん…っ」
岩『…何も言えねぇよ。俺が全部悪いから。』
「…っ昔っから変わらないよね、そういうとこ。…ムカつく」
わたしの言葉に、ふって笑い声がして。
「…笑うな。ばか。最低。嫌い。」
岩『…うん、ばかでも最低でもいい。…だから、。』
嫌いにはならないで、って。
「…なんなのもう…っ」
心がぐちゃぐちゃ。でも、言いたかったことを全部言って、ひとりで勝手にスッキリしてしまって。
…どのくらい、無言でいたのか。
岩『…落ち着いた？』
「…無理」
岩『落ち着いたね』
「…っむ！り！」
電話の向こうで、あははって笑い声が聞こえる。ムカつく。ムカつくムカつくムカつく!!!
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作者名：みらくる
| 作成日時：2024年3月29日 17時
