恋は甘くない。(黄) (ページ13)

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深澤くんとカフェを出る。

「…ごめん、お見苦しいとこ見せちゃって。あとお会計もありがとう」

深「んん。俺こそごめん。…なんも知らなかったとはいえ、泣かせるようなことしちゃったから、。」

「もうそれ誰にも言わないでよ」

元彼の友達、という変な感覚だけれど。深澤くんの優しさが、なんだか温かい。

深澤くんと分かれ、帰宅する。

ケーキ制作の図面を描きながら、それぞれの想いを形にしていく。

…けれど。どうしても彼のケーキだけ、手が止まってしまう。

その人のことをイメージしながら創造を膨らませるから…どうしても、胸が苦しくなってしまって。

…この人のだけ、優希に頼もうかな…。

そんな事を思っていると、ふとこの前の電話番号の書かれた紙切れが目に入る。

…深澤くんなら、別に、大丈夫かな、。

色々心配もしてくれてるし、今日のお礼も、きちんとしておきたいし。

スマホにその番号を入力し、電話をかける。

…あ、でも忙しいから電話じゃ迷惑かな。

それに知らない番号からの電話なんて出ないよねきっと。

そんなことを考えているうちに、電話が繋がってしまって。

「っあ、あの、深澤くん？Aです。今日はあの、ありがとう、」

A…？

話している途中で、電話越しに聞こえたその声は、深澤くん、ではなくて。

聞き慣れた、大好きで、大嫌いな、その人の声。