恋は甘くない。(黄) (ページ12)

今日:15 hit、昨日:146 hit、合計:113,611 hit

12 ページ12

「…一方的に理由も言われず“ 別れて欲しい”って言われたんだけど」

深「…そう、なんだ。ごめん、俺らてっきり、照とやり直すのかと思って、。でもAちゃん、なんか同じ仕事の男と仲良さげだったから、あれ？ってなって。照も…なんも、言わねぇから、。」

…なんかわたしが、悪者になってたってわけか、。

「…ごめん、そういうことだから…もう、あの人とは、仕事以外では会いたくないの。」

深「…ほんとに、他になんも言われてねぇの？」

「言われてない。別れて欲しいってだけ。そのあとも1年くらい、正直何か連絡来るんじゃないかって期待してた。でも、今の今まで何も無い。」

わたしの言葉に、深澤くんは目で分かるくらい、嘘だろ、って顔をしていて。

深「…こんなこと俺が言っていいのかわかんねぇけどさ…照、ほんとにAちゃんのことずっと好きなんだよ。別れるって話出た時も、俺らとめたんだ。そこまでする必要ねぇって。でも…リーダーとしての責任とか、なんか色々感じるものがあったみたいで…そこは、俺らも関係することだったから…なんも言えなかったんだけど、。」

深澤くんの言うとこはすごくよく分かる。内心デビューが決まったって聞いて、わたしも実は、すごく複雑だったから。外でデートとか出来なくなるな、とか、家に行き来するのも大変になるな、とか。…でもあの人は、そんな未来のことなんかじゃなくて、そこで時を止める選択をしたんだから。

「…事情はよくわかった。でもあの時あの人が選んだのは、わたしとの未来じゃなかった。それだけだよ。」

きっと深澤くんは、わたしの気持ちを理解してくれている。だからこそきっと、わたしたちのお互いの誤解を解こうとしてくれてる。…でももう、。

「…どんな気持ちがあったにしても…わたしはあの時、すごく苦しかった。理由も言われずただ別れて。テレビの向こうで笑顔でアイドルしてる姿を見るだけで、胸がギュッて苦しくなるの。…ずっと隣で、一緒にいれるって…思ってたから…」

あ、まずい。

そう思った時には、涙が頬をつたっていて。

ああもう、情けないな。

わたしまだ、心のどっかで、彼の笑顔が忘れられないんだ。