恋は甘くない。(黄) (ページ2)

今日:7 hit、昨日:146 hit、合計:113,603 hit

2 ページ2

アイドルになった彼と別れてから2年が経った頃。

パティシエとして働いているわたしは、同じ三ツ星ホテルで同じくパティシエとして働いている、製菓学校の同期、
黒田優希(くろだゆうき)と付き合うことになった。

かれこれ10年近い仲。恋仲になってもその関係が深まることはなく、お互いに恋人としてではなく、仕事のパートナーとしての方が心地いいね、となり、結局半年ほどで別れて。

けれど、アイドルの彼と違い、連絡を取ることが無くなるとかそんなことはなく、むしろお互いに切磋琢磨して。円満な別れとはこういうことなのかと、なんだか実感した。

そしてそのことが尚更、アイドルの彼との別れが酷いものだったんだなって、痛感もした。

そんな時。

アイドルグループと、わたしが監修したケーキがコラボするというなんとも名誉なことが起きて。

なんでもそのアイドルグループのリーダーが、甘い物が好きで、わたしの勤務するこのホテルのケーキが好きでたまに食べに来ているとのことで、うちのホテル側がオファーしたらしい。

まあ確かに、お互いメリットしかない案件。わたしも断る理由がなかった。

…まさかそのアイドルグループが、最悪の別れ方をした元カレがいるグループだったなんて。

その時はまだ、考えもしなかった。