恋は甘くない。(黄) (ページ1)

今日:124 hit、昨日:125 hit、合計:113,574 hit

1 ページ1

.

別れて欲しい

2年付き合った彼に、一方的にそう伝えられた。

アイドルを目指していた彼を、1番近くでずっと応援して支えてきたはずなのに。

デビューが決まったその報告と同時に、そう言われて。

納得なんて出来るわけなかった。でも、言い返すのもなんだかバカバカしくなるほどに、あまりにも突然過ぎて。

なんで別れようって言ったあなたがそんな悲しそうな顔をしてるの？

なんで家を出るわたしを引き止めようとするの？

気持ちがぐちゃぐちゃで。

そんな中途半端な優しさを見せる彼に腹が立って、アイドルになる彼の頬を、パチンと思いっきり引っぱたいたのは覚えてる。

さようなら

わたしはそれだけ言い残し、それからわたしたちは、二度と会うことはなかった。

1年間、少し、少しの期待を込めて、連絡先も残しておいて。

またやり直そう

そう言ってくれるんじゃないかって、少しだけ期待していたけれど。

なんの音沙汰もなくて、気づけば、テレビをつければうつる彼の姿。

…そっか、わたし、邪魔だったんだ。

画面の中でアイドルの顔をしている彼の顔が、わたしの心をキュンとさせると同時に、ギュッと締め付けられるくらいに苦しくなる。

もう終わったんだ。わたしたち。

ちょっとでも期待してた自分が哀れで惨めで。

いつしか画面の中ですら、彼の顔を見るのが辛くて。

過去の記憶を消すかのように、残しておいた連絡先を消した。