彼氏の作り方。(黄) (ページ20)

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☆*。ページ20

岩「…すいません、遅くなってしまって」

岩本くんが少し前に出て、お母さんにそう言って。

『こちらこそごめんなさいね送ってもらったみたいで。…あら、もしかして、岩本くん？』

はい、と返事をする岩本くん。そうか、小学校からずっと一緒だし、お母さんも知ってるのか、岩本くんのこと。

『おっきくなっちゃって！昔からかっこよかったけど今も変わらずかっこいいのね！』

素敵ね～なんて、なんかお母さん、ちょっと〝女〟出してない？

岩「、あの、Aさん、…Aさんのバイトの事なんですけど」

ふいに呼ばれた名前呼びに、少しだけ、ドキッとして。

岩「俺と同じバイト先なんですけど…人手足りなくて。もし良ければ、俺毎回家まで送るので。許可して貰えませんか？」

…岩本くん。

『あらそうなの？岩本くんも一緒なら大丈夫かしらね。』

え。

『この子ほんと危なっかしいとこあるでしょ？昔から知らない人に勝手についてっちゃうし。でも岩本くん一緒なら安心ね。』

おいおい？

「…え、い、いいの？バイトしても」

『その代わり。勉強もしっかりやりなさい。テストで赤点取ったらすぐ辞めさせるからね』

…お母さん…！！！

「お母さん大好き！ありがとう！」

『それはお母さんじゃなくて岩本くんに言いなさいよ』

……え？

「い、いや、付き合ってないよ？」

『…え、そうなの？岩本くんが彼氏なら大歓迎なのに…』

ちょ、お母さん！何を言うの！このモテ男がわたしのことなんて、！

慌てて岩本くんを見るけど、なんか全然動じてない。

岩「はは。ありがとうございます。頑張りますね」

岩本くんの言葉に、お母さんはなんだか乙女の顔してる。え？何？

『この鈍感娘をどうぞよろしくね』

はい、って岩本くん、返事してるし。…いやまあ確かに色々お世話になってるけども。

岩「…じゃあ、また学校で」

わたしの頭をポンと撫で、そのままお母さんにぺこ、とお辞儀をし、岩本くんは帰っていって。

なぜだかその瞬間、すごく寂しくなった。

『あんたほんとに付き合ってないの？！』

「付き合ってないよ！なんなら彼氏作るの手伝ってもらってるんだから！」

『…どういうこと？』
(岩本くん、うちの娘のこと、好きよね、？)

「岩本くんはモテるんだから！岩本くんからモテコツ教えて貰ってるの！」

『…この鈍感娘』