いちごミルクな彼女３

またお誘いが ページ9

「はぁ…」


昨日の余韻が抜けないままアフレコ現場に行けば
出るのはため息ばかり

すごく楽しかったっていう感想と、
もっとこうすればよかったんじゃないかっていう後悔が


杉「おうおう、悩める乙女よ」

「あ、杉田さんおはようございます。もう乙女って歳じゃないんですけど…」

杉「もう俺らの中では話が回ってるぞ」

「あー…」


何がとは言わないけど、きっと江口さんのことだろう
良平さんから話がまわってきたのかな


杉「で、どうだ。進展は」

「杉田さんお望みの答えは何もありませんよ」

杉「なんだ、つまらないな」

「そういえば今日は中村さんと一緒に来てないんですか？」

杉「毎回一緒に来てたら気持ち悪いだろ。今日は別だ」

「そうですか」


台本を広げて自分のセリフをチェックしようとすると
杉田さんがすぐ近くに立って影を作る


「杉田さん、わざとですか？」

杉「一緒にゲームしないか」

「最初からそう言ってくださいよ」


バッグからゲーム機を取り出して隣に座る


杉「なぁ、花澤」

「はい」


会話はしながらも、目はずっと画面を見ている


杉「何か視線感じないか」

「すごく感じてます。汗ばんだ視線を感じてます。」

杉「どうする」

「しばらく様子を見てみますか」


少し離れたところに座ってる小野さんがずっと視界に入ってるから
その視線はひしひしと感じる

誰かから聞いたことがあるけど、
私と誰かがゲームしてる時の集中力がすごすぎて話しかけにくい雰囲気が周りに伝わっているらしい

自分たちでは別にわざとそうしてるわけではないし、
話しかけてもらっても何の問題もないのに



「なかなか話しかけてきませんね」

杉「そろそろじゃないか？」


杉田さんが言うと同時に小野さんが席を立ってこっちに歩み寄ってきた


小「お、おはよ！」

「おはようございます」


ゲームを中断して小野さんとバッチリ顔を合わせる


杉「今日はずいぶん時間かかりましたね」

小「いやぁ、ね？ほらAちゃんがあれじゃん？」

「ニヤニヤしながら言わないで下さいよ…」

小「とりあえずおめでとう！！」

「あ、ありがとうございます…」

小「杉田くんはもうあのこと話した？」

杉「いや、まだです」

小「じゃあ今言っちゃおうかな。Aちゃん、明日飲みに行くよ」

「は、はぁ…。神谷さんがいるなら」

小「ほんとにAちゃんはひろＣっ子だな〜」

「うるさいです」


だって、神谷さんと飲むの大好きなんだもの

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