いろづく季節5 #masai ページ8
なんで俺の名前知ってるんだろう。まだ伝えていないはずなのに。
「あれ、俺の名前…」
頭に浮かんだ疑問をそのまま、彼女に投げかけてしまった。先程まで笑みを浮かべていた彼女の顔には、今、緊張の色が走っている。マサイという名は当然Fischer's限定だが、彼女の口から出たという事は。
未だ緊張の色が窺える彼女の表情と合わせれば、答えは想像に難くない。
「もしかして、ウオタミさん？」
何百万人も視聴者がいれば、あり得なくはない事。しかし、今までのみのりの様子から察するにウオタミである事は隠しておきたそうだ。
現に、みのりの顔色がやや青に傾いている。
だから、アルコールによって高揚しきっているオレとモトキ以外には聞こえないレベルの声量で重ねて質問してみた。モトキは只オレの隣から様子見している。
『隠すつもりは、なかったんですけれど』
自分の代わりに冷や汗をかいたようなグラスを両の手で包むように持ち、それを真上から覗き込むように項垂れるみのり。その様子を見ていると、そこまで気にする必要はないのに、と少し可笑しくなり、笑った声が漏れてしまった。
「そんなに気にしなくても、誰もみのりさんのこと追い出したりとかないんで大丈夫っすよ。そもそも声かけたの俺だし。」
「そうそう！みのりさんはマサイに誘われただけだし。あ、この唐揚げ美味しかったですよ！」
マサイの隣で静観していたモトキに目の前の取り皿に唐揚げ１つ、唐突に載せられる。ほらほら、食べて食べて！と少し強引に勧めてきた事を皮切りにみのりの張り詰めていた雰囲気が霧散した。
『おいしそう。頂きます。』
モトキに貰った唐揚げを前に合掌して一口頬張るみのりを見れば、先程までの緊張は引き揚げていたことに安心した。そして、�爐�いしい″と柔らかい顔をするみのりに、ぼっ、と顔に熱が駆けた。一瞬狼狽え、みのりに見られたくないと咄嗟に思い、彼女と反対側に勢いよく顔を逸らすと勿論そこにはモトキ。モトキにはバッチリ赤く染まった顔を見られてしまった。ニヤリと口角を上げるモトキ、一拍置いてマサイが顔を逸らしている事に気づいたみのり。頭上にクエスチョンマークを浮かべるみのりに全て察したモトキから何でもないですよ、とアイコンタクトが送られる。
「あれれマサイ、みのりさんに惚れちゃった？」
モトキに小声で問われる。未だ引かない顔の熱が答えだろう。
二人の色づく季節まで、もう少し。
encounter 1 #motoki→←いろづく季節4 #masai
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xokimichikory29(プロフ) - かなとさん» お教え頂き、ありがとうございました！まだまだ不慣れで手探りなもので、気づきませんでした。申し訳ありません。 (2019年8月5日 18時) (
レス) id: df98532389 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月5日 10時) (レス) id: 268a9b2673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃん | 作成日時：2019年8月5日 10時
