悪者？【3年A組】

88.執着心 ページ49

『為す術もなく直ぐぶっ倒れちゃって、

　
　そこに、仲の良かったクラスメイトが来た。

直ぐに逃げていったよ、まあ、当然だよな、



　救われるかもなんて、思うのが馬鹿だった。

そこからまた、逃げたんだ。』




『そこからかな、家族との仲が更に険悪になったのは。


　父親からは怒り通り越して呆れられるし、

姉さんからはひたすら怒られて、


つい叫んじゃった。


姉さんに何がわかる、ってね。



　
　そこから、姉さんと会話しない日々が続いて、

ちょっとしてから聞いたのは、




　姉がトラックに飛び出して死んだって連絡だった。』




　吹っ切れた、というような発言に、クラスメイトは衝撃を隠せなかった。





『その時確信したよ、

　確実に、自分のせいで死んだんだなあって。



　それからまあ色々あって、なんとか高校には受かったんだけどさ。

　ずっと抜けなかったよね、姉さんのことは。



　何も言わずにトラックに飛び出したんだよ。

　はは、こっちが死にたくなった。




　そこからかな、転校すること、上京すること、

　そして、姉さんの名前を貰う事を決めたのは。』




柊「…そして、魁皇高校にやって来たんだな。」




『うん、けっこー最初の方は快適だったよ。

ただ、姉さんの名前で生きてたことぐらいは。

　
　吐きそうだったね、正直言うと。



　姉さんの名前が側に有れば、落ち着けるかな、って思ったんだけど、

そんなことなかった。



　名前を呼ばれる度に、おかしくなりそうだった。

姉さんの名前を呼んで良いのは、自分だけなんだって、だっせぇけどずっと思ってたよ。』





諏訪「……。」





『……まあ、逃げるように上京して来たし、今でも父親と気不味いことは変わんない。


　って言うのがあって、まあ……

簡単に完結させると全てに於いて怠くなって、



　終わらせちゃおっかなー、みたいな。』






『これ以上、生きててもどうしようも無いし、


希望も夢もないし。』






諏訪「…………。」






柊「……それが、お前の全てか。」






『…うん。』






『…じゃ、そういうことだから、


じゃね。』





　空中に身を任せようとした時、


声が響いた。










「あんたさ、情けないと思わないの?」









姉さんが、纏わりついている様な気がした。

89.？％＄＃＊※▲∴÷；；→←87.嘘吐き

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す