悪者？【3年A組】

81.全ての始まり ページ42

No side


　柊は、郡司と共に屋上へと繋がる階段の踊り場に座り込む。

　柊の携帯画面に映し出されたmind voiceは、柊に対する中傷コメントで溢れかえっていた。



柊「はっ……完全に悪者扱いだな。」


郡司「それがお前の狙いだろ。」



　
　柊の呟いた言葉に対して、郡司がそう返す。



郡司「……俺はたとえ自分の命が残り僅かだとしても、こんな事件は起こさない。」



　あくまでも健常者的な考え方だ。

　誰だってそう思う、けれど、彼は違った。



柊「…そうでしょうね、まともな人間がやることじゃない。」



　柊は、そう言いながら自虐的に笑った。



郡司「お前がトチ狂ってるとは思っちゃいねぇよ、

　生徒を見ていれば解る。」



　郡司は柊に向かって、言葉を放ち続ける。




郡司「……お前さん……痩せちまったな、

もう話しても良いんじゃねぇのか？



　どうしてお前がこの事件を起こさなきゃならなかったのか。」




　柊は腕時計に視線を向けた後、口を開いた。




柊「あと7時間58分、ゆっくり話してもお釣りが来ますね。」




柊「きっかけは、''文香''のフェイク動画でした。」


　


　柊は、ゆっくり語り出した。






　文香という女性が、フェイク動画をきっかけに心を病んだこと。

　そのフェイク動画の裏には、武智大和が絡んでいたこと。
　
　
　復讐の為に魁皇高校の教師になったこと。

　そんな時、膵臓癌が再発したこと。




　追い討ちをかけるように、新たに「景山 澪奈」というフェイク動画の被害者が生まれたこと。

　自 殺を止められなかったこと。




　そして、それを受けて最後の授業に挑んだこと。




　全て、明かした。





柊「俺が最終的に全国民の敵になる必要がある…。


　そうでもしなければ、俺の目的が果たせない。

そしてこれは……ある生徒の為でもあるんです。」




郡司「…理由はわかった。


でも何故、生徒の為にそこまでする必要がある。」




　少しの間を挟み、柊は口を開いた。









「教師、だからですよ。」

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