悪者？【3年A組】

80.Parade Of Fools. ページ41

茅野「私は……この手を離した。


だから澪奈は______」



逢沢「それは違う！！！」




茅野の言葉を遮り、逢沢が叫ぶ。




逢沢「………自分を責めんなよ。」




茅野「…先生も、そう言ってくれた。」



茅野「今先生がやろうとしていることは、

澪奈が飛び降りた原因を解き明かすことで、手を離した私の気持ちとは別のこと。


先生はそれで私の気持ちが晴れると思ってるかもしれないけど…、









……私の罪は消えない。」






　「罪」という言葉に、


　「後悔」という想いに、


　思わず反応する身体。




　せめて、あと少しぐらいは、

　
　自分を貫かせて欲しい。







『………でも、そーやって自分ばっか責めて何になんの？』



　
　全員の視線が、自分に向けられた。





『言い方は、悪くなるけど、

ここに居る全員が景山を救えなかった、いや、救わなかった。


いわば全員共犯者だ。



もうここまでくれば、誰が悪いとかそういう話からは論点がずれてくるんだよ。

アンタ一人の言い分じゃ決められない。』




茅野「……でも、実際…最後に手を離したことに変わりは______」




『だから、同じ事繰り返させんな。

景山の薬のやつで、初めてクラスから迫害された時。


あの時既に全員景山の差し出した手を無視したんだ。

勿論、ぼくも例外じゃない。


ぼくなんて視線も向けずにスマホ弄ってたし。』





お前はもう十分だ。


だから早く、ここから''出て行ってくれ''。





『……ぼくはアンタの気持ちは分からない。

でも、ぼくから見れば、

アンタは勝手に一人で傷付いて、苦しんで、痛がってるだけにしか見えない。



ぼくでは差し出せない手でも、

ここに居る奴なら、




引き上げてくれるんじゃない？』






ぼくはお前のことがわからない。


だから、お前だってぼくのことが分かるはずない。




いや、


解られてたまるか。


　


ぼくからしたら、ここに居る全員が逃げているように見えるよ。


一人一人、色々抱えてる。





でも、他人の痛みが他人に解るかよ、


何が痛くて辛くて苦しくて嫌かなんて、



人それぞれだろ。





だから、ここでは、「偽善者」ぶらせてもらう。


お前に死なれたら、一番困るのはぼくなんだ。






いや、一番困るのは、


景山かな？






ま、誰でも良いけど。




とにかく理由はなんだって良い。

今だけでいいから、引き下がってくれ。



自分を、自分で塗り潰さないでくれ。

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