悪者？【3年A組】

66.名声と権威、失意と失望。 ページ25

柊「…マインドボイスのライブ中継です。

今の会話はすべて、ネットに流れていたんです、

ユーザー5千万人、が貴方の自白を聞いていたんですよ。」



柊「景山を死に追いやったのは、武智大和



……貴方だ！！！」


柊「この映像を見ている皆が証人です、

さぁ、もう言い逃れはできませんよ。」


　せんせーはボタンを押し、


柊「ライブ終了。」


　そう言った。


柊「…約束通り、貴方の大切なものをいただきました。



“ 名声と権威 ”



それが貴方にとって、何より大切なものだった

これで全てを失った。」


　武智は虚な目でせんせーを見る。


　
武智「…なんだ、この茶番は…、


俺はただ、見込みのありそうな奴にオイシイ環境を与えてやっただけじゃないか！



それの何が悪い！？


…出来なければ消される、そんなの当然だろ！

こっちとしては、ダメなら別のものを差し出せばいいだけだ！


生徒がどうなろうと「自己責任」だ！


俺には「関係ない」！


結果が出ずに辞めたやつのことなんか知るか！

勝ち続けなきゃ次がない、それがこの世の中だろ！？


……''商品価値のない奴に用はないんだよ！''」


　

　まるでエコーがかかっているかのように響く声。


　フラッシュバックする過去。


　奪われた事の無い人間の本音。




　嗚呼、せんせーこれで分かったよ。



　世界は生き辛い。




柊「…生徒はモノじゃない！人間だ！」



柊「俺たちが導いてやらなきゃならない、脆くて、未完成な人間なんだよ！

…三歩先しか見えてない彼らに、長いレールを敷いてやる！！


未来を信じて、行く先を案じて、どの道を歩めば、彼らにとって最善なのかを考える…！


寄り添って…寄り添って…！

一緒に答えを探す！！」

　

柊「…それが、教師の務めだろ！！」


柊「…あいつらの将来を、俺は、見届けることが出来ない…！


でもだからこそ！

あいつらには幸せになって貰いたい…！」



　そして、せんせーは黒く光る物体を手に掛け、武智に向ける。



柊「お前に…！教壇に立つ資格はない！！！」



　そこまで言い切ったとき、警察が校舎に侵入してきた。


柊「…刑事さん！あとは頼みましたよ。」

　
　せんせーはそれを構えながら、校舎の中へ姿を消した。





　辞めとけよ、せんせー。


　
　人は簡単には変われない。



　逆もまた然りなんだから。



　小刻みに震える腕を握り締めながら、自傷気味に笑った。

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