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今日は雲ひとつない快晴、屋上でご飯を食べるのにもってこいの天気……だけど。
「へぇ!研磨さんとAさん、小学校から一緒なんスね!すげぇ〜」
「……」
青い空の下でもそもそとご飯を口に運びながらじと、とした目で空を見つめている孤爪くん。
と、それを気にも留めずご機嫌な灰羽くん。
(なんでこうなったんだっけ……)
それは遡ること数分前_____
宣言通り教室に現れた灰羽くんは、なんとお弁当を持参。一緒にご飯を食べようと誘ってくれた。
そこまでは良かったものの、隣にいたゲームに夢中の孤爪くんもターゲットにされてしまい、半ば強制的に屋上へ引きずられてしまったのだ。
1歳差とはいえ、年下の灰羽くんが楽しそうにしているところに水を差すこともできず、また2人きりになるのも少し気まずい。だから孤爪くんには申し訳ないけど、日の光の下へでてきてもらった。
道中きちんと自己紹介をし合って晴れてお知り合いへ昇格することができ、そして今に至るという訳だ。
「研磨さん、オレのウィンナーあげますよ!」
「いい……いらない」
「そんなこと言わずに、ほら!」
(仲良しなんだなぁ……)
まだ灰羽くんのことはよくわからないけど、孤爪くんがいつもより表情豊かで安心する。
そんなことを考えていると、灰羽くんのウィンナー攻撃に耐えかねたのかご飯を食べ終えた孤爪くんが立ち上がる。
「オレ、もう行くから……あとは2人で食べれば」
『え、孤爪くん』
「……」
(何も言わずに行ってしまった……)
残された、私と灰羽くん。
_____そわそわ。
しばらくの沈黙。気まずさに耐えられず、ただお弁当を口に運ぶ作業に没頭する。
たまに「卵焼き美味そうスね!」『ホント?食べてみる?』なんて会話をして。
2人の弁当箱が空になり、話題を探して空を眺めていた時。
「今日、急に誘ってすんません。でもオレ、先輩とちゃんと話してみたかったんです。今は喋れてないけど……」
『私も、怪我のこととか、気になってたよ』
「怪我はもう全然!帰って消毒したし……」
ぱたぱた、と降った手にはきちんと絆創膏が貼られていてホッとする。
「……またご飯誘ってもいいスか?」
こちらを伺う緑の目がなんだか可愛くて、すぐ頷いた。
するとびきり嬉しそうな顔をして、こちらも口角が上がってしまう。
(次、あるんだ)
すこし弾む足取りで、2人は屋上を後にした。
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えま - はい!読みます!! (4月6日 18時) (レス) @page33 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - えまさん» コメント嬉しいです…!ありがとうございます☺️ (4月6日 11時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月6日 9時) (レス) @page32 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - いもりさん» 素人の文にそう言って頂けて嬉しいです…!こちらこそありがとうございました🙏 (4月5日 22時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
いもり - 完結おめでとうございます!!とってもドキドキしました(`・ω・´)こんないい作品書いて下さりありがとうございました! (4月5日 17時) (レス) @page32 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ボルシチ | 作成日時:2024年3月22日 12時