. ページ31
『れ、……ちか……』
噛み付くようなキスが続く。
後退りして息継ぎをしようとしても、すぐに距離を詰められてしまう。
とん、と背中に壁が当たって逃げ場がなくなったことに気づく。大きい手が、逸らそうとした顔を包んで逃がさない。
『んん……っ』
酸素を求めて開いた口はすぐに塞がれて、2人の呼吸が漏れ混じり合う。
(く、くるしい……)
意識が朦朧とし始めたところで、ようやくキスの雨は止んだ。
『っ、はぁ……』
「……すみません、大丈夫ですか?」
全然大丈夫じゃない。
ぐったりと彼の胸にもたれて、ぐりぐりと顔を埋めると優しく髪を撫でられる。
『……くるしかった』
「でも、かわいかったです」
ぽか、と叩くと彼は笑って抱きしめてくれる。
「もうちょっと休憩、いいですよね」
そう言う彼と一緒に倒れ込むと、今度はおでこに唇が降りてくる。
『リエーフくん』
「…………」
『……レーヴォチカ』
「ん〜?」
『好きなの?キス』
「Aさんが好き」
『…………課題しようよ』
「まだ休憩中だからダメです」
そう言って起きあがろうした私を彼は腕の中へ連れ戻して、しっかり抱きしめる。
服にシワがつくかも、なんて思ってはいても彼の匂いに包まれるのが心地よくて抵抗を諦めてしまう。
『……恋人になってからはさらにスキンシップ激しいよね』
「嫌いじゃないでしょ?」
『……』
「……照れてる」
『ちがうよ』
赤くなった顔を見られたくなくて、ニヤける彼の顔を両手で隠した。
『限度を覚えてほしい』
「いいですよ」
ホッとしたのも束の間、彼の顔を隠していた指先にちゅ、とキスをされる。それは手のひら、手首と続いて。
『言ったそばから』
「いいじゃないですか、今だけ」
『もう……』
そうため息をつくけど、彼が熱い視線を送ればまたキスを許してしまう。
結局私も彼の銀色の毛並みを、
大きな手のひらを、
どうしようもなく愛してしまうのだ。
79人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えま - はい!読みます!! (4月6日 18時) (レス) @page33 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - えまさん» コメント嬉しいです…!ありがとうございます☺️ (4月6日 11時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月6日 9時) (レス) @page32 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - いもりさん» 素人の文にそう言って頂けて嬉しいです…!こちらこそありがとうございました🙏 (4月5日 22時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
いもり - 完結おめでとうございます!!とってもドキドキしました(`・ω・´)こんないい作品書いて下さりありがとうございました! (4月5日 17時) (レス) @page32 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ボルシチ | 作成日時:2024年3月22日 12時