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彼と話さないまま、合宿は半分を過ぎた。
天気は暗くどんよりと曇り空、今にも雨が降り出しそうな黒い雲が立ち込めている。
今はウチと梟谷の練習試合のスコアを、コート脇で書き込んでいるところだ。
けど……
「無理に答えを出さなくていい」
合宿の初日に彼が言い放った言葉が、未だにずっと頭をぐるぐる回っている。
答えをださなくていい、ってつまり。
どういうこと？
あれから彼は私に何も言わないし、むしろいつもより距離が遠い気もする。
なかなか答えを出さない私に、もう期待していないのかも。
そう考えると胸がチクリと痛んで、私の気持ちまで曇ってしまいそうだ。
(このままなにもないままは、やだな……)
なんてぼーっと考えていた、その時。
「危ない！！」
一瞬何が起こったかわからなかったけど。
重い音の後、顔面に強い衝撃。
その後すぐ感じた痛み。
『い、たた……』
思わず顔を手で覆うと、赤い液体がぽたぽたと手に滴り落ちている。
『……あれ……はな、血……』
きっと流れ弾がちょうど顔面に飛んできたのだろう。
部員のみんなや相手チームの人まで心配そうに見ていて、コート中のたくさんの目線が私に集まって、顔が熱くなるのがわかる。
「わりぃな……大丈夫か、？ど、どうしよう」
『わ、わたし……ごめんなさっ……試合……』
「木兎さん落ち着いて下さい。キミも。とりあえず止血をしましょう」
試合中に考え事をしていた私が悪いのに、木兎さんと呼ばれていた大きな人は申し訳なさそうにワタワタしているし、黒髪の人はタオルで鼻を抑えるよう促してくれる。
くらくら、焦りと出血で頭が回らなくなって、試合を中断してしまったことも謝らないといけないのに、勝手にじわじわと涙が出てきてしまった。
『すみません……っ保健室、いきます』
マネージャーなのに、本気でやっている人たちの邪魔をしてしまった。
込み上げる涙は絶対に流すまいと必死で堪える。
「大丈夫？歩けるなら付き添うよ」
すぐに駆け寄ってくれた梟谷のマネージャーさんに支えてもらいながら、私は体育館を後にした。
「…………」
「……心配なのはわかるけど集中しろよ、リエーフ」
「あ、はい……すんません」
「……」
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えま - はい！読みます！！ (4月6日 18時) (
レス) @page33 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - えまさん» コメント嬉しいです…！ありがとうございます☺️ (4月6日 11時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月6日 9時) (レス) @page32 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - いもりさん» 素人の文にそう言って頂けて嬉しいです…！こちらこそありがとうございました🙏 (4月5日 22時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
いもり - 完結おめでとうございます！！とってもドキドキしました(｀･ω･´)こんないい作品書いて下さりありがとうございました！ (4月5日 17時) (レス) @page32 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ボルシチ | 作成日時：2024年3月22日 12時
