後悔はしない ページ7
「…ふぅ〜、仕事終わりのお風呂って最高…」
なんて穏やかに言ったが、心の中は何一つ穏やかじゃない。
『…いずくくん、なんであのお店来たの？』
「最初は先輩の誘いだったんだ。
でも、そこでAちゃんと会えたから、ここに来たらAちゃんに会えるかなって思って
Aちゃんと会えたのが、すごく嬉しかったから」
『……わたしも、会えて嬉しかった』
「え！？」
『……いずくくんには、バレちゃったから、もう隠しても意味ないね……
あのね、いずくくんに会ってから、我慢できてたことが、我慢できなくなってね、大変だったんだ…』
「…いつからなの？」
『20歳くらいの頃からかな…？
その頃に、あの人と会って、ほら…雄英やめてずっとふらふらしてたから…その、何すればいいかわかんなくて、それで、その人がいろいろ面倒見てくれて…って感じだったんだけど、キレやすくて…』
Aちゃんから話してくれるなんて予想外だったけど、話が聞けてよかった。
目的達成、というより、普通に、個人的に話してくれたってことが嬉しかった。
「そうだったんだ」
『…うん。でも、テレビつけるといずくくんばっかりで、テレビみてるときと……あ、ううん、テレビ見てるときはすごく楽しかったんだ』
にへ…と笑うAちゃんを見て、僕は後悔した。
もし、僕の気持ちをもっと早くAちゃんに伝えていたら、
なぜ、雄英を卒業した後すぐにAちゃんを探そうとしなかったのか、
"テメェにはもっと探さなきゃなんねェもんがあンだろうが"
プロヒーローとして活動して1年と少しが経った頃、たまたま現場が一緒だった、もう1人の幼馴染みに言われた言葉が頭をよぎった。
かっちゃんの言葉だ。
かっちゃんは、そのことをずっと僕に言っていた。
僕はずっと、言われていたことに今になって気づいた。
「Aちゃん、」
『うん？……んっ』
僕はAちゃんの唇を奪った。
もう、後悔はしない。
後悔したぶんは、これから取り返す。
『…んぅ…っ』
「……はぁ、んっ」
何度も何度も噛み付くようにキスをした。
時折漏れるAちゃんの声が色っぽくて、歯止めが利かない。
気づけばお風呂なんて遠に出て、2人とも裸のままソファにAちゃん押し倒していた。
『……はぁ…っ、これも、っ…さーびす？』
「ちがうよ。
Aちゃん、僕は君が好きだ。」
もう一度、噛み付くようにキスをした。
もう、後悔はしない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
