プロポーズ…？ ページ44
…と、とど、あ、しょー、と、くん、との、その、あの話は、言った方がいいのかな…？
いや、別に、言ったっていずくくんは怒ったりしない。
教えてくれてありがとうって言って、しょーとくんにも、わたしにも、優しく気づかってくれる。
だけど、それでいいのかな？
いずくくんは、それを聞いて、傷つかないかな？嫌な気持ちになったり、しょーとくんとぎこちなくなったり、しないかな？
「どうかした？」
しょーとくんと別れてすぐいずくくんが戻って来て、ずーっと言おうかどうか迷ってたら、声をかけてくれた。
『…あ、う、…ぅ〜……』
「君は君が思ってるよりずっと気に病みやすいタイプだから、無理せず言った方がいいよ。僕も知りたい。」
『…、』
「僕は別に怒ったりしないだろ？」
『そんなの知ってるもん…』
「じゃあどうして？」
……いずくくんは"引く"ということを知らない。
知りたいことは満足するまで知り尽くす。
割と土足で人の心に踏み入る。
…言っちゃえばちょっと強引。
でも、強引なやり方をしても、心のままに突っ走っても、事を大きくすることがないあたり、さすがだと思うし信頼できる。
…いずくくんって、いいとこいっぱい。
『……あのね、』
全部話した。
しょーとくんとのやり取りも、どうして言わなかったかも、全部。
『……だから、』
「そっか。……たしかに、Aちゃんが思うように、轟君には気づけなくて申し訳ない気持ちはあるけど、でも、ほとんどAちゃんの心配しすぎだよ」
『…でも、申し訳ないって気持ちがあるなら、ちょっとぎこちなくなったりしないの？』
「しないよ。むしろ、堂々としてるよ。
君を死ぬ気で幸せにしなきゃ、轟君に怒られる。
…それこそほんとに轟君に君を奪われちゃう。それは絶対嫌だから」
……いずくくん、強い。
わたしだったら絶対オドオドして迷い散らかす。
「だから、僕にAちゃんを幸せにさせて！ね？」
『……え、と…』
……い、いずくくん、それは、プロポーズ…？
え、いやいや、どうせ、いずくくんのことだもん、そういう言い方になっただけで、プロポーズのつもりなんて全然そういうんじゃない。そうだよ、いずくくんにそんなの出来ないよ。
『…ぅん、』
でも、なんか嬉しいな。
そんなふうに、言ってくれたり思ってくれたり……。
い、いつか、本物のプロポーズ、聞けたらいいな……。
「顔、赤いけど大丈夫？」
『…大丈夫』
……何も大丈夫じゃない
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作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
