今日からプロヒーローに飼われます。 (ページ43)

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"しょーと"くんページ43

「…久しぶりだな、転璃」

『…うん、とどろきくん』

「元気そうでよかった」

『…とどろきくんも、元気そうでよかった
…あと、ヒーローチャート、また順位あがってたね』

「見たのか。サンキューな
転璃の話もよく聞くぞ
A組の奴らからも、他のヒーローや市民からも」

『…うぐ…』

「悪い話じゃねーよ
最近、緑谷んとこで頑張ってるとか、おまえの個性のおかげで助かったとか、いい話ばっかだ」

いずくくんを待ってるあいだ、今日はとどろきくんに会った。
とどろきくんは、ずっと優しくしてくれる。
雄英にいた頃も、何かと気にかけてくれた。

『…とどろきくんは、いろいろ気にかけてくれてるね』

「ああ。
緑谷にはわりぃんだが、俺もおまえのこと好きだったんだ」

『…え』

クラス一のイケメンと言われてたとどろきくんに、そんなふうに思われてたなんて、よくわたし誰にも何もされずにいたな…。
…そしてわたしはそんな好意にも気づかないほどいずくくんでいっぱいだった。

「自分の中で、もうケリはつけたと思ってたんだが、今でもときどき、緑谷からおまえを奪いたくなっちまう」

『え…っ』

「緑谷見かけるとすぐ目で追う姿も、褒められるとすぐ赤くなるのも、相手のために自分のキャパ以上に頑張りすぎちまうとこも、ぜんぶ。」

とどろきくんが、キスできちゃいそうなくらいグッと近づいてきて、ビックリした。
そのあとのとどろきくんの熱のこもった言葉にも。

もし、いずくくんに会ってなかったら、いずくくんを知らなかったら、きっと、とどろきくんの熱に侵されて溺れちゃってた気がする。

「わかってる。おまえはずっと緑谷のもんだ」

『…、』

…つらい。

『……話してくれて、ありがとう。嬉しかった。
……とどろきくんの熱に侵されちゃってたかもしれないくらい…。』

「…おまえ、そういうこと簡単に言わねーほうがいいぞ」

『え…？』

「…ほんとに侵したくなんだろ
緑谷のミの字だって思い出せねーくらい」

『…と、とどろきくん……？』

「…わりぃ。なんでもねぇ。」

『…、』

「…転璃、」

『…なに？』

「俺のこと、名前で呼んでくれねーか？
"ショート"でも"焦凍"でも、どっちでも構わねーから」

…せめてそれくらいのことは、してあげたい。

『…じゃあ、あいだとって、し、しょーとくん』

「ああ、ありがとな」

とど…、しょーとくんは、切なげに、でも嬉しそうに、わたしにありがとうって言って、わたしを抱きしめた。