今日からプロヒーローに飼われます。 (ページ35)

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幼馴染、水入らずページ35

『あ、かつきくんだ』

「かっちゃん、久しぶり！君もここの現場だったんだね！」

「…っせェな
つか、オフじゃねェんだぞヒーロー名で呼べや」

『…だいなまいとくん』

「そォだ。略さずちゃんと呼びやがれ」

『…わかった』

僕以外と喋ってるAちゃんってものすごく珍しくてレアだから、なんか感動しちゃうなぁ。嬉しいなぁ。
幼馴染という距離ゆえなのかどうなのかはわからないけど、Aちゃんは何故かかっちゃんには怖気付いたりせず平然と喋る。
そして僕は昔から二人の会話をすぐ横で聞いてるだけ。
今もそうだ。

『いずくくんはいつも優しくしてくれるよ』

「…そうかよ」

二人の会話を聞いていてわかることがあって、
それは、かっちゃんが思いのほかAちゃんに甘いということ。

「かっちゃんは僕をなんだと思ってるの…？」

「だァってろクソデク！！！」

「えぇ…理不尽だよ」

「ッせェ！！来るとこ来るとこ来やがるうえにべちゃくちゃ話しかけてきやがってクソナードがァ！！」

「現場が被ったんだから仕方ないだろ！
それに、久々に会えたんだから話くらいいいじゃないか！」

「あ"ぁ？」

『…仲良くできないの？』

「そ、そういうわけじゃ…！！」

「…チッ。
出来るわ！！したるわ！！ナメんな！！！！」

昔から、Aちゃんは僕らが言い合ったりいがみ合ったりするのを嫌がってた。
その度に、こうして仲良くして欲しそうに言う。
そしてそれを合図に僕らは言い合いをやめる。
Aちゃんは僕らのストッパーだった。
僕が無個性だった頃は、何度助けられたか…。

『…二人とも、すぐケンカする』

「ごめんね、Aちゃん」

「…悪かったな」

僕らが言い合ったせいでAちゃんがしょんぼりしてしまった。
これは目の前で仲直りしないとダメなやつだ…。
……、僕はいいけど、かっちゃんが対僕に素直にしてくれるかどうか……。

ていうか、突っかかってきたのかっちゃんなんだけど。

『…仲直りする？』

「する！！」

「…しゃーねェなァ」

『…ふふ、じゃあ、はいっ』

Aちゃんが笑って渡してきたのは一袋のポッキー。

「…マジかよ」

『しぇあはぴ』

「…食べよっか」

仲直りの証に一袋のポッキーを3人で食べるのが、Aちゃん流。

3人でポッキー食べるの、これで何度目だろう？

……なんて、僕らの言い合いをAちゃんが止めてくれるのを地味に楽しんでいたりする僕がいる。