今日からプロヒーローに飼われます。 (ページ31)

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好きなものは好きな人とページ31

『あれ…？これ、全種類じゃない？』

「あ、そうなんだ！
実は、僕のコレクター魂が疼いちゃって、全ヒーロー制覇しちゃった」

Aちゃんとの初めての情事を終え、話題は僕が買ってきたメロンパンへ移った。

Aちゃんはイタズラっ子な猫のように僕のリュックの中を物色していた

「Aちゃん、風邪ひいちゃいけないからこれ着て」

『…いずくくんの匂い…』

服も何も着ず、四つん這いになってリュックを漁るもんだから、目のやり場に困って、とっさにさっきまで着てた僕の服をAちゃんに渡した。

……僕の分身は浅ましくもまた、ジワジワと熱を持ちはじめてしまった。

「……どうすんだよ」

『あ、お茶子ちゃんのメロンパンだ』

僕のことなんて気にもせず、Aちゃんは麗日さんのピーチ味もち餅メロンパンに夢中だ。
桃と餅を掛け合わせたメロンパン、掛け合わせが不思議すぎて僕も一番気になったけど、君、さっきまで僕のピスタチオメロンパンにメロメロだったじゃないか。
もっと言えばついさっきまでハートマーク飛ばしまくるほど僕にメロメロだったじゃないか。
移り変わり早過ぎないか？
これが花より団子系女子ってやつなのか？？

『…美味しそう』

「…どんだけ好きなんだよ、メロンパン」

ずーっとメロンパンに食いついてるAちゃんを横目に、楽しそうなAちゃんを見て嬉しい気持ちと急に冷められてしまった気持ちが複雑でため息が出る。
……ため息が出つつもまだ反応してる分身もどんだけなんだよ。

『いずくくんも一緒に食べよ？』

「……え…っ！？ぼ、僕！？い、いいよ、Aちゃんのために買ってきたんだし！」

急に話を振られたからびっくりした。

『…一緒に食べてよ？』

「…い、いいの？」

『うん』

「じゃあ、貰おうかな」

Aちゃんは意外とシェアハピ精神旺盛で、何でも分け合おうとする。
僕とかっちゃんがまともなケンカをし始めた頃、三人で一箱のポッキーを一緒に食べたことあったな…

『好きなものは好きな人と食べるのがいちばん美味しんだよ』

はぁ……可愛い。
両手いっぱいにメロンパン持ってニコニコしながらそんなこと言うの可愛い。

浅ましい分身を隠しながらAちゃんとメロンパン選びをはじめた。

「うわぁ、悩ましいな」

『そうだねぇ……あ、』

「ん？……あ！」

Aちゃんに覆い被さるような体勢を取ってしまって、浅ましさが即バレし、僕らの第2ラウンドが幕を開けた。