安心していいよ ページ4
アフターサービス……、お店の先輩に、お客さんとお泊まりすればいいんだよ、と教えてもらったもの。
まさか、わたしがそんなことする日が来るなんて…
……お泊まり。
ん？
お泊まり、おとまり、オトマリ、おとま、り…！？
い、いずくくんとお泊まり…っ！！
それだけは無理！！！
いろんな意味で無理！！！
『…あの、』
「じゃ、帰ろっか」
『……あ、アフターサービス、とか、何すればいいかわかんないから…っ』
「初めてだもんね、でも大丈夫だよ」
いつもの優しい笑顔と優しい手つきでわたしを抱きあげた。
はわわ…っ、いずくくん、温かい…、
『……でも…っ』
ごちゃごちゃ言い訳して遠回しに嫌だと伝えても、いずくくんは涼しい顔して、もうすぐだからね なんて言う。
それに、いずくくんはプロヒーローだから、市民にバレないように、こっそり個性を使って空を飛びながら帰っているから、急降下すると、おなか、変…なんか、びくんびくんして、そっちに意識が行って他が考えられない。
「それに、今回は目的が違うし」
『……え？』
「ついたよ！」
『…わっ、』
大きなマンションの大きな一室。
いずくくん、こんなだだっ広い部屋で暮らしてるの？
「入っていいよ、お風呂沸かしてくるから、ソファでもどこでも好きに座ってて！」
『…おじゃまします。』
……広いし、はじめてだし、どうすればいいかわかんない
「あ、Aちゃん 座っててよかったのに
おいで？お風呂が沸くまでいろんな話しようよ」
『あ、』
ぼーっと立っていたら、お風呂場から戻ってきたいずくくんに手を引かれて、なぜか、いずくくんのお膝の上に座らされて、よしよしって頭撫でてくれる。
……もう、いろいろ耐えられない。
まだ冬で、すごく寒いのに、汗かいちゃいそうなほど身体が熱い。ドキドキしてるの、聞こえちゃわないかな…？
こんなに近くで、くらくらしちゃう
それに、安心する…。
こんな安心感、何年ぶりかな…
毎日ずっと怖かったのに、痛かったのに、嫌な緊張感でいっぱいだったのに、頭を撫でられるたびに解けていく…。
いずくくんを避けていたことも忘れるくらい…。
「Aちゃん、」
『…なぁに？』
「今、すごい顔してるよ…」
『…？』
「ははっ 僕がいるから安心していいよ」
今の、解けたわたしが、変なことを言いそうでちょっと怖いけど、いずくくんの温度が心地よくて、どんどん解けていく…
はぁ……いずくくん、だいすき…
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作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
