依頼 ページ25
Aちゃんのイタズラは思いのほか評判が良かったらしく、後日、事務所にはAちゃん宛にテーマパークでの仕事の依頼がたくさん届いていた。
『…どうすればいい？』
「んー…」
Aちゃんが求められてるの嬉しいな。
僕としては、是非受けて活かしてほしいけど、Aちゃんは正式なヒーローでは無いため、依頼をされても承れない。
「…あ。」
『ん？』
「あ、いや、一つ、考えが浮かんだんだけど、どうなんだろう？って思って…」
『…考えって何？』
「…僕宛にして貰えたらな、なんて。」
『……ん？』
「あ、いや、Aちゃんは正式なヒーローじゃないから、依頼を承ることが出来ないんだ。
だから、Aちゃん宛じゃなくて、僕宛に依頼をくれればなぁーって…」
Aちゃん宛のものでも僕宛に依頼をしてくれたら、僕は断ることは無いし、僕の元でインターンをしているAちゃんは余程のイレギュラーがない限り同行するから、依頼主の希望通りの動きが出来るうえ、僕がいるのでヴィランに襲撃されてもある程度の対応は出来る。
まさに一石二鳥の案、だけど、
『…じゃあ、いずくくんに言ってって言えばいいの？』
「うん、まぁ。
果たしてそのやり方が認められるかは、わからないけど」
難しいだろうなぁ…。
それに、僕がAちゃんを贔屓してるって噂されて、Aちゃんの評価を落とされても困る。
「…やっぱり筋は通そう。」
筋を通すのであれば、承れないということをハッキリ相手側に伝えて、正式にヒーローになったとき、ご縁あればまたお願いしますって頭を下げるべきだ
『お断りするの？』
「うん。
でも、ただ断りを入れるだけじゃないよ
承れない理由を話して、正式なヒーローになったとき、またお願いしますってお願いするんだ」
『…』
「今回は数が多いから、手紙を書いて一斉に送るけど、Aちゃんの直筆が好ましいかな」
『…直筆』
「うん。
パソコンで制作してもいいんだけど、面と向かって言うことが出来ない場合は、直筆の方が誠意が伝わりやすいからね」
『…わかった』
「じゃあ、Aちゃんはそれをしてもらって、僕は予定通り書類整理。」
そうと決まればそれをするのみ。
途中、"手が疲れた"だの"お腹空いた"だの、いろいろ飛んできたし、僕も僕で、滅多にしない書類整理に手を焼いて、いろいろ文句を飛ばしながら、でも何だかんだ楽しく仕事に励んだ。
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作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
