シロネコのお遊戯 ページ21
「あれ…？こんなの予定にあったっけ？」
僕の目の前で、可愛らしいクマやネコ、ウサギなどの動物のぬいぐるみ達が一列に並んで歩いている。
今日は大手おもちゃ会社の設立記念日ということで、会社付近の大通りでパレードをするため、その警備をするのが仕事で、ある程度事の流れを事務所や社員の方々から聞いていたけど、僕が聞いていたのは着ぐるみを着たスタッフたちが踊りながら通るというもの。
目の前の光景とは全く違うものだ。
「…ぬいぐるみたちがまるで生きてるように……
…ん？…ぬいぐるみが、生きている…？」
一列に並んで歩いていると思えば、今度は踊り出した。
…、
「Aちゃんか！！」
僕が場所も考えず大声で喋ると、ネコのぬいぐるみがこちらへ寄ってきて、腕を伸ばす
「…？ど、どうしたの？」
そしてそのネコの伸ばされた腕の手の先に、ポンッと音を立てて綺麗にラッピングされたプレゼントが落ちてきた。
まるでネコが魔法でプレゼントを出したように。
「僕にくれるの？
ありがとう！」
「あけてみて」
「し、喋った！！！？？」
ほ、本当にAちゃんか？
Aちゃんの個性であれば、今起きていることは全て可能。
だけど、Aちゃんは喋らせることなんて出来なかったはず…。
とにかく、今はあけてみてと言われたプレゼントを開けてみよう。
「"だいせいかい"…」
プレゼントを開けてみるとメッセージカードが入っていて、そのメッセージカードには"だいせいかい"と書かれていた。
つまり、Aちゃんが僕の独り言を聞いていて、もしくはどこかで僕の一部始終を見ていて、急いで書いてラッピングして転送させた。
ここへ来る途中、"あっち見たい"と言っていたから、Aちゃんの成績とここ一帯の治安、ヒーローの人数を考慮したうえで、何かあれば連絡を絶対することを条件に単独行動させてたけど…
『…あ、』
ぬいぐるみたちが歩いて来た方向をまっすぐ進むと"staff only"と書かれた扉を見つけ、開けるとAちゃんがいた。
「…こんなイタズラをさせるために単独行動を許したわけじゃないんだけどなぁ。」
Aちゃんは僕を困らせることも大好きなどうしようもない奴だ。
そして、怒られるとわかると怖気付く。
「ダメだよね？
会社のぬいぐるみをあんな風に使っちゃ」
『…ぅ』
「あのラッピングも、パレードに来てくれたお客さんに渡すためのものだよね？」
『…ごめんなさい』
「…どうしようかな？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
