悩ましい ページ20
Aちゃんの社会復帰について本気で疑問を抱いていながら、Aちゃんがプロヒーロー免許取得するまで手を出さないと決めていたり、我ながらとんでもない矛盾だ。
だけど、どちらも本心。
可愛いAちゃんを僕だけのものにしたい。
他の誰の目にも触れないでほしい。
でもプロヒーロー免許を取得して、警察の方々に安心してもらって、Aちゃん自身にも、やれば出来ると、自分は決してマイナスな人間じゃないことをわかって欲しい。
もっと自分や自分の個性に自信を持って欲しい。
……僕だけのものでありながら、Aちゃんに自信をつけさせるには、どうしたらいいのか。
「…悩ましいなぁ」
『…なにが？』
「え！？あ、な、何でもないよ！」
あの後、Aちゃんが酸欠状態になるまでキスしたあと、僕はカツ丼をおかわりして、今現在、カツ丼を頬張りながら冒頭にあることを考えていた。
Aちゃんは食べ終えて、僕の隣で僕の腕にひっついて座ってる。
食事中は向かい合って座るけど、食べ終わるとすぐひっつきに来る。
Aちゃんは言葉にできない分、行動で示す派で、とても可愛い。
ひっつかれながら食べるのも、もう慣れてきたな…。
『…ほんとかな？』
「ゔ…っ、」
Aちゃんにこんなこと言えない。
『…お、お……て…？』
「え？今なんて言ったの？」
Aちゃんは極限まで照れたり緊張すると、真隣にいても聞こえないほど声が小さくなる。
『…。おこめ、ついてるよ…って、言ったの…』
…絶対違うだろ。
「Aちゃん、教えてよー！」
『…だから、おこめ…』
「違うよね、絶対」
『…。もぅ、一回で聞いてよ。…ばか』
んんん、可愛い……っ
けど、気になるぅ！！！！
「ひどいよぉ」
『……ひどいのはいずくくん』
「もぉぉおお！！！」
聞こえなかったのは残念だったけど、Aちゃんがこうやって軽口叩いてくれるのは、嬉しいな。
最近のAちゃんは再会したあのときよりもずっと、明るい。
僕にも、今までのように軽口叩いてくれるようになって、表情もコロコロ変わって。
『……いずくくん、』
「ん？」
『……免許、絶対…取るからね……』
「うん！
Aちゃんなら取れるよ！」
悩ましいけど、でも、Aちゃんの努力は無下にできないから、もう少し、悩んでいようかな。
「僕も、僕に出来ることなら何でもするから、一緒に頑張ろうね！」
『…うん』
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作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
