カツ丼マジック ページ19
『…できたよ、ごはん』
「ありがとう！
カツ丼だ！！！いただきます！！！」
『…ふふっ』
Aちゃんと暮らしはじめて、Aちゃんが出来ないことは僕がやって、他の家事はすべてAちゃんがやってくれるようになってから、かなり健康的な生活を送れるようになった。
とくに、食生活。
「…美味しい」
『…よかった』
Aちゃんの料理は、美味しいけど上手いわけじゃない。
下手か上手か、どちらかと聞かれれば正直、下手な部類に入るくらいの腕前。
だけど、カツ丼だけは異様なほど上手くて、かなり美味しい。
ただし、本当に、カツ丼だけ。
僕はそれを《カツ丼マジック》と呼ぶことにした。
「Aちゃんが作るカツ丼、ほんとに美味しい…！！」
『…ふふ
カツ丼は、いずくくんの好きな物だからね』
「え？」
僕の好きな物だと美味しくなるのか？
いや、僕はAちゃんが作ってくれるものは何でも好きだけど？
Aちゃんの発言を不思議に思っていると、Aちゃんは顔を真っ赤にして教えてくれた。
『……カツ丼、いずくくんの好物だから、小さい頃からずっと練習してたんだ…
カツ丼だけは、ちゃんと、美味しく作れるようになりたくて……』
「……ぅっ」
可愛い…っ！！
こんな可愛くていいのか？大丈夫なのか？
そんな真っ赤な顔してチラチラこっち見ながら言うなんて反則じゃないのか？
本当に僕を悶えさせるのが得意だな、君は！！
『最初はぐちゃぐちゃだったんだ…なかなか上手くいかなくて…揚げすぎて固くなっちゃったり、逆に生焼けだったり…
上手くできるようになったの、ほんとに最近なの…』
そんな失敗談も、照れたようにモジモジしながら教えてくれた。
可愛い君をおかずにカツ丼10杯くらいいけちゃいそうだよ！！
『……おかわり、あるよ？たべる？』
「…今は、カツ丼よりAちゃんを食べたいな」
『……えっ、と…？』
Aちゃんの頬を両手で包んで顔を近づけると、顔だけじゃなく、耳まで真っ赤にさせた。
「ほんっとに、可ァ愛いね…」
今すぐにでも押し倒して 犯 し尽くしたい。
抱き潰して、ぐちゃぐちゃにしたい。
でも、Aちゃんにはヒーロー免許取得に専念して欲しいから、免許取得するまでは我慢だ。
だから、めいいっぱいキスする。
『…はぁっ……んっ……んぅ…っ』
「…、…酸欠になっても許して」
キスだけで終わるから。
だから。
全部、受け取って。
Aちゃん……
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作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
