今日からプロヒーローに飼われます。 (ページ15)

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恐怖とヴィランと初接触ページ15

次々にいろんなものが飛んでくる。
いろんな方向から。

ヒーロー、なんだから、自分で考えて動かなきゃっていうのはわかってるんだけど、何をどう動けばいいのかわからない。

「まずはここから離れよう。
Aちゃんは周囲に怪しい人がいないか見てて」

『え…？』

「僕でさえ察知がギリギリだった。
それに、さっきから僕たちだけをターゲットにしてるあたり、市民に手を出すつもりじゃない。
狙いはヒーロー……っAちゃん！！」

『……っ！？』

何が起こったのかわからなかった。
冷たい針金のようなものがわたしの身体に巻きついた瞬間、すごい勢いでどこかへ引き戻される。

こわい…。
それしかわからなくて、ぎゅっと目をつむった。

「おぉ、釣れた釣れた。
あ？ガキか？」

薄らと目を開けると、ワイシャツを着た、根暗そうな男の人がいた。

「まぁ、ガキとは言えヒーロー志望だもんな。
強めに縛っとくか」

『……痛っ』

その男の人は、わたしを捕まえた針金のようなもので、わたしを拘束していく。

足も、手も、腕も。
一切の身動きがとれないように。

この針金のようなものが、この人の個性なのかな？

「そりゃ痛いよ。針金で縛ってんだから」

強く、縛りすぎ…。

『……ほ、ほどいて…っ』

「ヤダね。だってお前もヒーローなんだろ？
ヒーロー相手に手加減なんてしてられるかっての」

『……痛い…』

「あ、いいね！その顔！
ゾクゾクする。もっと強く縛っていい？まぁ縛るけどさ」

『…ひぐっ』

皮膚にくい込んで痛い。
痛い…。

「ハハッたまんないねその顔！もっと苦しめたくなる！」

『…んんっ、んぐっ、』

そう言って男の人は、わたしの口も、後頭部と一緒に針金でぐるぐる巻きにした

…息、できない…っ

…はっ、そうだ、いずくくん
転送でここに呼べば……っ

「ちょっと、変なことしようとしないでよ」

わたしの少しの動きすら見逃さず、さっきよりもずっと、きつく縛られた。

「目当てはデクだったんだけどなぁ
だから隣にいたお前を先にやっちまおうと思ったのにさ」

男の人はわたしの目の前にやって来てしゃがみ込んだ。

『…っ』

触らないで…っ

男の人はわたしの顔や脚を触る。

『んんっ、んぅ…っ』

「あぁ、ほんっといい顔するなぁ」

もう、感覚がない。
フィンガースナップさえ出来れば、いずくくんをここに呼べるのに、もう感覚がなくなって上手く動かせない。

…息もできない。

……苦しい。