インターン、開始！ ページ14
「Aちゃんはとにかくいろんなものを目にしないとだから、パトロールは尚のこと必須だね」
『…いずくくんも一緒？』
「もちろん！
インターン中はずっと一緒だよ」
人と関わることが元々苦手で人見知りなAちゃんにとって、パトロールも一苦労するだろうなぁ…と思いながら、隣を歩くヒーローコスチューム姿のAちゃんを横目でまじまじ見る。
…やっぱり可愛い。
ネコの付け耳も尻尾も可愛い。
普段は露出を避けるAちゃんが脚も腕も出してるレア感も最高。
高校生の頃、"Aってなんか猫っぽい！"という芦戸さんの言葉と、"Aってメイド服とか似合いそうだよね"という耳郎さんの言葉から発想を得て、上鳴くんの"フリルとかリボンとか甘めの感じとかどうよ？"という言葉の元、フリルとリボンも大胆にあしらわれて作られたA組特製、激甘シロネココスチューム。
繋いだ手も、小さすぎてうっかり握りつぶしそう…
でも、ちょっと強く握って痛いの我慢してる顔も見てみたいな…
…絶対しないけどね。
「あ、あと、これも大事なことで、
ヒーロー活動をするときは、ヒーロー名で呼び合わなきゃダメなんだ
だから、ヒーロー活動してるときは"デク"って呼んでね」
『……でく』
「そうそう！僕もAちゃんのことは"シロネコ"って呼ぶから、覚えておいてね」
このヒーロー名"シロネコ"も、A組のみんなで考えたもの。
あす…っ、梅雨ちゃんが
"Aちゃんは髪が真っ白で、今朝見かけた白猫にそっくり。可愛いわ"
という発言が元になった。
『……わかった。い、でくくん。
…なんか、すごい違和感がある…』
「あははは、だよね。
僕も未だにかっちゃんのこと、かっちゃんって呼んじゃって、よく怒られるよ」
今まで、Aちゃんが僕を"デク"と呼んだことは一度もなかった。
だから、こうしてAちゃんに呼ばれると、僕も慣れてなくて違和感がある。
まさか、君に"デク"と呼んでもらえる日が来るなんて思わなかったな…。
「…っぶね」
『…っ、』
どこからともなく、ナイフが飛んできて、急いでAちゃんを抱き寄せて避けた。
まさに、間一髪。
少しでも遅れていたら、Aちゃんが刺されてた。
呑気に考え事してる場合じゃなかった。
ヴィランは待ってはくれない。
「Aちゃん、大丈夫？」
『…うん、ありがとう』
僕の危機察知をギリギリまで察知させないなんて、手馴れてる。
「ヒーローの時間だ、Aちゃん」
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作者名：どやちゃん | 作成日時：2024年2月11日 21時
