23話 月が綺麗な日 ページ25
『わぁ…おっきい……』
月がきれいな日はあの日を思い出す。
あの日のあの夜……
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「いつか必ず迎えに来ます。
だから、それまではここにいてください」
『あしでまといはいらない…?』
「ち、違いますよ!巻き込みたくないんです!!
なんか、すごく嫌な予感がするんですよ、今回…」
嫌だった。
巻き込みたくないなんていまさらなのに、嫌な予感なんていまさらなのに。
それに、どれだけの不運に巻き込まれても、嫌な予感が的中しても、わたしがいちばん嫌なのは、傷つくのはオットーくんがそばにないことなのに。
「ここの宿主は僕に結構な借りがありますから、何事もなく安心していて大丈夫だと思います」
『…いつまで?』
「そうですねぇ…3日程、と言いたいところですが、正直まったく目処が立ちません…
何せあの量の油と僕の巡り合わせの悪さですから…」
『…』
「でも、約束は絶対に守ります。
僕にも誇りってもんがありますから!」
そう言って宿を出た。
月はこんなにきれいなのに。
そして何日も戻って来なかった。
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夜も遅い時間。
フルフーと共に大量の油を抱えて森を進む。
「また、泣かせちゃいましたかね…」
案外泣き虫なAは割とすぐに泣く。
傷つけなくないと思えば思う程、寂しがりなAを傷つけてしまう。
「…手紙が送れるくらいの額は残しておきたいですね」
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「──油は売れないし、魔女教に出会すし、ガーフィールともいろいろあったし、屋敷で魔獣に追われるし屋敷燃やして怒られ、散々でしたねえ」
月が綺麗な日はあの日のことを思い出す。
それはあの日も今日みたいに月が綺麗な日だったから。
「本当にAをあの宿に置いてきて正解だった」
ナツキさんの晴れ舞台も無事に終わってAをここへ連れて来た。
宿の前で薄らと隈が出来たAが何故か立って待っていた。
宿主曰く、僕が出て行ってから迎えに来るまで毎日ずっと、朝も昼も夜遅くまで宿の前で待っていたらしい。
食事も飲み物も喉を通らなかったらしく、冷酷と呼ばれる宿主の彼が本気で心配していた。
「それを聞いてからは出来るかぎり一人にしないようにしてるつもりですけど、なかなか手のかかる……はぁ」
Aが作ってくれた激甘夜食と紅茶を見ながらため息ひとつ。
ペトラに妬いて僕の苦手な甘いものを夜食に用意して攻撃してくるくせにお供の紅茶はとびきり苦いとか、怒ってても結局優しいのがなんともAらしくて笑ってしまう。
24話 がーる・みーつ・がーる→←22話 マヨネーズの裏側で
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猫まんま(プロフ) - どやちゃんさん» 書いて下さりありがとうございました!!これからも更新頑張ってください! (2021年6月16日 1時) (レス) id: 795f205d3c (このIDを非表示/違反報告)
どやちゃん(プロフ) - SMEさん» わぁぁ!ありがとうございます!!そうなんですよ、オットーくんの中々なくて…死にかけてたので勢いで作ってしまって…!応援ありがとうございます!はい、頑張ります(*^_^*) (2021年4月27日 8時) (レス) id: fea1b802e2 (このIDを非表示/違反報告)
SME(プロフ) - オットーの小説中々ないので凄くニヤニヤしながらよんでます()これからも応援してます!無理せず頑張ってください(^^) (2021年4月27日 0時) (レス) id: a63e2a6764 (このIDを非表示/違反報告)
どやちゃん(プロフ) - 猫まんまさん» わぁぁ!コメントリクエストありがとうございます!!文才がないので上手くできるか分かりませんが、頑張ります(*^^*)ありがとうございます! (2021年4月5日 15時) (レス) id: fea1b802e2 (このIDを非表示/違反報告)
猫まんま(プロフ) - リクエスト失礼します。オットーと夢主ちゃんがデート(という名のお使い)をするお話がみたいです (2021年4月5日 2時) (レス) id: 795f205d3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どやちゃん | 作成日時:2021年3月20日 22時