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そうやってクリスマス・イヴになると、あの公園で成瀬お兄さんに会い、預けられたものを返してはまた預かる、という変な関係が続いた。

最初に出会ったクリスマス・イヴではマフラーを。

2度目に会ったクリスマス・イヴでは手袋を。

3度目に会ったクリスマス・イヴでは耳あてを。

4度目に会ったクリスマス・イヴではニット帽を。

そして今日、5度目のクリスマス・イヴになる。私は高校を卒業し、大学生になった。

会う度にこうして生きる理由を与えてくれるお兄さん__いや、成瀬さんにもびっくりだ。

まあ、私にとっては好都合なのだが。

今の私の生きる理由は、『成瀬さんに会うため』に変化していた。

彼が、好きなのだ。

どうしようもなく好きで、クリスマス・イヴ以外でも会いたくて、もっと色んな彼を知りたくて、好きが溢れて止まらない。

毎年変わらない大通りを歩き何度も通った道を進めば、あっという間に公園についた。


「誰かと思ったら…私服姿のAちゃんだ。久しぶり。すげぇ可愛いじゃん」


1年前とほぼ変わらず、彼はそこにいてくれた。


「好きだなぁ…」


なんて、小声でぽつりと呟いてみた。





「時間経つの早いな…もうこんな時間じゃん」


毎年のようにお喋りしながらお菓子を食べて、時間いっぱい楽しんでいたら、成瀬さんはそう言った。

また1年間会えないこの気持ちはやはり何度体験しても慣れないもので、胸がきゅうっと締め付けられる。

今年は何だろうかと考えながら俯いた。


「ねぇ、Aちゃん。今回はさ、これじゃだめ?」


そう言う彼の手元にはスマホがあり、LINEのQRコードが表示されていた。


「えっ、あのっ、これ、」


クリスマス・イヴ以外でも、会ってくれるということだろうか。自分の中で期待が膨らみ、顔が熱くなる。


「一年に一回しか会えないって寂しいから。もっとAちゃんに会いたいし、知りたいし、あ〜…つまり、ですね」

「年上彼氏は、嫌ですか?」


彼の口からそう告げられ、また涙が零れた。

霧で視界を奪われている私に(生きる理由)を与えてくれて、たくさん与えてくれて、彼の存在が私を救ってくれたのだ。

霧の中にいる私を照らしてくれたのだ。


「嫌じゃないです…!私の生きる理由は成瀬さんだから」

「じゃあ、Aちゃんは俺の生きる理由になってね」

「はいっ」


静かな公園に、どこか遠くから『赤鼻のトナカイ』の曲が聴こえた気がした。


___fin.

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月25日 9時

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