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珍しいね、こんなに早いなんて。

問いには、そう答えた。彼がいつも帰ってくる時間なんて、知らないんだけど。

「いつもと、同じだよ」

Aこそ、この時間に起きてるの珍しいねと。すこし嬉しそうに言うのは、なんでなんだろう。
知らない香水が残ってた服は、なんだったの? ほかのひとが、できたんじゃないの?

そうだと思ったから、こうやって、出ていこうとしたのに。人生で最悪のイブだって、笑うつもりだったのに。

「あ、あした、夕方には迎えにくるから、準備して待ってて」

なんでそんな、まだこの関係が続くみたいに言うの。わたしはもう、やめられるつもりでいるのに。

「デートすっごい久しぶりやし、なんかいまから緊張するんやけど」

とか。なんでそんな、なんでって。ほかのひとがいるなら、もっと冷たくしてくれればいいのに。
決めたあとに、こんなに優しくされたら、またすがりついてしまう。

「ずーっとさみしい思いさせてごめんね、明日、たくさん楽しませてあげるから、許してね」

なんて、抱きしめられたら、絆されてしまう。

わたしがしようとしてたこと、全部知ってるみたいに、優しくしないでほしいのに。
好きな香りが、わたしを包んで、絡んで、離れない。

わたしは、弱いのに。すぐ、逃げたがるのに。

「今日は、一緒に寝よ」

涙が、ニットに染み込んだ。

迷霧のクリスマス・イヴ【nqrse】/トーストぱん→←***



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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月25日 9時

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