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xxx less【luz】/硝子体 ページ27




クリスマスのうちには帰るから。なんて通知を、既読をつけないまま、指で動かす。
だって、見てしまったことにしたら、惨めじゃない。そんなの、耐えられない。惨めなわたしなら、誰にも見せなくていい。

だって、知ってる。
イブを過ごす相手は、あなたにとっては、わたしじゃない。そんなこと、ずっと前から知っているから、今更傷つかない。今日ひとりで眠ったって、どうせ明日はなんでもなかったように来るから。

だから。

新しい香水を買った。楽しかった思い出がくるくる頭の中をまわっていくのが嫌だったから。

ネイルサロンに通い始めた。指先がきれいでも気づいてくれないことを信じたかったから。

古くなった靴を捨てた。思い出が染みついてるみたいで重かったから。

髪を染めた。可愛いような色より、ほんとうはこっちのほうが好きだったから。

友達と遊びに行く回数を増やした。家にいたら、苦しさで押しつぶされそうだったから。

全部、わたしのため。ほかの、誰のためでもない。
クリスマスには、全部忘れられるようにするため。

わたしの名前を呼ぶ優しい声は、もうわたしを愛してくれることはないと、知ってるから。

「……何してるん?」

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月25日 9時

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