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家に帰りついて玄関を開けると、俺以外の靴が1足。それもかなり見覚えのある靴。今日はここどころか日本にもいないはずのAの靴があった。
「は？」
いやいやいや、なんでだよ。あいつ今日はこっち帰って来れないって言ってただろ？
「あ、わたるおかえり」
「......幻覚か？」
「あれ？」
ついに俺は幻覚を見るくらい想いを拗らせたらしい。たしかに会いたいと思ったけど。
「おーい、わたる？」
「落ち着け俺。これは幻覚でAじゃない」
「あ、ひどーい。本物なのに」
そう言って俺に触れる手は柔らかくて、たしかな暖かさがあって。俺に触れているその手に手を重ねるとと"ほら、幻覚じゃない。本物でしょ？"と笑いかけられた。
「なんでいるんだよ。仕事で帰って来れないって......」
「あー......お仕事、辞めてきちゃった」
「......は！？」
彼女からの返答に思わず出た声は裏返っていた。
辞めた？あんなに楽しそうに仕事の話をしてたのに、それなのに辞めた？いつ？そして何故......？
「いつ辞めたの？」
「昨日。辞めた勢いで日本行きの飛行機予約して帰ってきちゃった。ここについたのもついさっき。わたるに電話かけたくらいかな」
「なんで辞めたりしたの？」
疑問は尽きないけど、それなりの理由があって辞めたのだと思って理由を聞いた。少し困ったような表情をしたA。
「あ、いや、言いたくないなら別に言わなくてもいいからな」
「んー、笑わないで聞いてくれる？」
「笑わないから教えて？なんで辞めたの？」
「私が仕事を辞めた理由は、＿＿＿＿」
そうして彼女から返ってきた内容は想定外の内容だった。
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