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主導権はどっち?【志麻】/Elice ページ5

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フワリ、フワリと都会では珍しい白い欠片が空を舞う。
今日はクリスマス。この天気のおかげでホワイトクリスマスだ。


『さっむ………』


マフラーに首を埋めて、悴んできた手は手袋をゲームするのに邪魔だと置いてきたことを
後悔しながらぽっけに突っ込んだ。


待ち合わせまではあと15分、柄にもなくソワソワした結果異様に早くついてしまった。




 


 

『なぁ、クリスマスってなんか予定ある?』


 
片思いしているAに、勇気を出して聞いたのは今からだいたい2週間くらい前のことだ。
キョトンとした顔で、スマホを確認している彼女を見て心臓の鼓動はめちゃくちゃ早くなった。


 
「…それは、クリスマス予定のない独り身に対しての当てつけかな志麻君。」

『そんな訳ないやろ?』

「志麻君と違ってモテませんからー」


 
何て、笑いながらそう返してくるA。
…嘘つけ、知ってるんやぞ。俺以外にも、何人もお前に声かけてるの。
それを全部断ってることも、だから俺がこんなに緊張してるんやから。


 
『それやったらどっかでかけへん?』

「…へっ?志麻君予定とかないの?」

『ないからお前誘っとるんやろ?』

「寂しいねー…いいよ、私でいいなら。」



 
 
 
 
 
 
 
 
 
『っと、言うわけで…今日は何するんやっけ。』



 
クリスマスに他の男の誘いは断ってるくせに、俺の誘いは受けてくれた。
少しは期待してもえぇんやろ?なんて、あらかじめ脳内に考えていたプランと
鞄に忍ばせているプレゼントを確認する。



 
「お待たせー、ごめん待った?」

『いや?さっき来たとこやし。』

「ならよかった。にしても、いつもより変装してるねー」

『まぁ、仕事柄な。』


 
さすが、人気者は辛いね。なんて笑っている彼女。
明るい茶色の髪を緩くまいて、ラベンダー色のニットに黒のスカートを身に着けている姿は
俺を、志麻を知っていて意識してくれてるのかと少しだけ嬉しかった。
反対に俺はマスクにメガネと、まぁいつもより少し隠れてる場所が多いが。


 
「それで?どこに連れてってくれるの?」

『お楽しみ。んじゃ移動するで。』

「はーい。」



 
その距離、1メール歩かないか。
それでも、少し離れている気がして。
クリスマスをいいことに、ほんの少しだけその距離を縮めた。

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音溜  - 作者様が豪華すぎる、、!! 生きててよかった、、(^ω^) (2019年12月28日 5時) (レス) id: 826a111be6 (このIDを非表示/違反報告)
- 私の大好きな作家さん面白いです…聖夜いいですね! (2019年12月25日 23時) (レス) id: 85e6f3523b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月25日 9時

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