Xmas Stories 【虹】 (ページ3)

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桐山照史＿恋の魔法ページ3

クリスマスといえば、バイト。

恋にもあまり縁がない大学生の俺は、稼ぎ時のいまに集中してシフトをいれる。

「4番テーブル生入りましたー！」

「はいあざぁすー」

独り身の男連中が多いなか、

「桐山さんっ、これ何番テーブルですか？」

ちっちゃいのが走りまわる。

唯一の女子。

「9番テーブルやな。溢さんように気ぃつけ」

「はいっ！」

ものすごい可愛い。……可愛いよな。うん。

後ろ姿を見つめる俺を叩く後輩の小瀧。

アカンアカン。

「9番テーブル注文お願いしまーす！」

「俺行ってきまーす！」

いまAちゃんが届けにいったときにすればええのになぁ。

「お待たせしました！注文お伺いします！」

8番テーブルからは個室。

9番テーブルの人たちは俺くらい男子大学生。
、酔っぱらいやんけ。

「ええーとぉー、ラーメンくらはい」

「他にご注文がありましたらまとめてお伺いしますが」

「えーーじゃあ、Aちゃんの連絡先教えてー」

「…え？」

「あの子さぁ胸大きいしー可愛いからぁ今日お持ち帰りしようかなぁって」

「……うちの店員になにかしました？」

「あーいやちょっと胸触っただけ」

、いやなにしてるんこいつら。

ぎゃははなんて品のない笑いしやがって。

「ご注文なさそうなので失礼します。」

愛想笑いで9番テーブルを後にして、注文いれて速攻Aちゃんを探しにいくと更衣室にいるようで。

「Aちゃん、大丈夫か？」

真っ赤な目をしたAちゃんを抱きしめる。

「ごめんな、気づけんくて」

「桐山さん…」

「嫌な思いさせたな…もうあそこのテーブル行かんでええから」

「ありがとうございます、っ」

「最悪なクリスマスにさせたらアカンから、願い事きいたる」

それで笑ってくれたらええけど。

例えばケーキ、とか。

「、ス」

「え？」

「は、はじめてのキス、を桐山さんと、したいですっ」

「……俺と、キス？」

こくりと頷くAちゃん。

「いや、えっとダメならいいんです！あの玉砕覚悟っていうかその、」

「こんなんでええなら、」

泣き腫れた目も、耳も、頬も、真っ赤なAちゃんに、キスをした。

唇が離れたときの表情がすごく可愛くて、綺麗で、、頼まれてもないのに、２回目のキスをした。

「……好き、ですっ」

クリスマスに交わしたキスは、俺へ恋の魔法をかけてくれた。

fin.