Xmas Stories 【虹】 (ページ1)

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重岡大毅＿キミに恋してますページ1

手に取ったそれは、細くて冷たくて、でもどこか暖かかった。

「しげ、？」

「ついてきてください」

高校の先輩であるにも関わらず、相手の目を見ず引っ張り続ける俺は

…多分変な奴やと思われとる。

「どこ行くの？」

「分かりません」

「…カフェとか？」

「俺金持ってないんですよ」

そんなこと言えば彼女は、しげらしいって笑うから
、ちょっとペースが乱される。

「そういう私もなんだけどね」

手を繋いで、クリスマスカラーで一色の街を歩く。
いつの間にか隣にいる先輩は、目を輝かせて。

「……なんであんなとこおったんですか」

ピタリととまる先輩の足。
さっきまで笑顔やったのに。
壊したのは俺なんか？

「、先輩らしくないですよ」

先輩は水商売のお姉さんの格好して、厚化粧していた。

兄貴に『この子高校生やろ？』って写真送られてきて、
まさかそれが俺の好きな人だとは思ってなかったんやろな。

店に乗り込んで連れてきてもうた。

せやから格好は部屋着やし、コートとマフラーだけつけて。
まぁでもコートとマフラーは先輩に貸してしもうたんやけどな。

「私やって変なおじさんに触られるん嫌やで。臭いし…でもな、お金がほしくて」

「なんで欲しいんすか」

「それは……妹たちにクリスマスプレゼント買うために」

「、え？」

俺のマフラーに顔を埋め恥ずかしそうに

「うち貧乏やねん…せやから」

小声でそう言った。

「でもアカンことです。もうやめましょ」

「…けど……」

「先輩！自分を売るような真似はせんといてください！」

握っていた手に力がこもる。

「、っほんまなにやってるんやろな…」

ツーと大きな目から伝う涙。

あかん俺泣かせてしもた…？

「ねえ、しげ……こういうときに抱きしめてよ」

戸惑う俺を抱きしめる先輩。

抱きしめ、てもええんかな。

「泣かんといてください…」

やけに弱々しい先輩をそっと抱きしめた。

「あのお仕事、やっぱり辞める…」

「ほんなら俺もバイト探すんで一緒にがんばりましょ」

「ええん？」

「いつもお世話になってますし……それに…」

「それに？」

「好きやから……」

先輩の顔は見えないけど、さっきよりも強く抱きしめてくれた。

……おれ期待しちゃいますよ。

「クリスマス、一緒にいたい……」

そっと呟かれた言葉。

返事は勿論

「俺もいたいです」

fin.