IT'S YOU (ページ8)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:11,895 hit

7 ページ8

早朝にAと別れて家に帰って
お風呂で軽くシャワーを浴びてベッドにダイブ。

LINEたまってるんだよなあ〜
そんなことを考えながらも
疲れているせいかすぐに夢の中に。

起きたのは昼過ぎで
だいぶ寝ていたことに気づいて
慌てて準備をする。

Aはとりあえず後でもいっか、
と後回しにして他のお客さんをLINEを返す。
Aにはあとでちゃんとお礼をしたい。

夕方からの同伴に向けて
ご飯屋さんを見ながら家を出た。

「貴久っ、」

待ち合わせ場所に行くと
もう既にいる甘ったるい声と匂い。

「ごめん、待った？」

『全然！私今日甘いもの食べたいの』

良くある会話を交わして
甘いものという言葉に心の奥底でため息をつく。

甘いものは苦手だ。

それでも同伴はお金になるから
お店からもここからも近いとこを選ぶ。

彼女でも何でもないのに腕を組んでくるとことか
わざとらしく身体を押し付けてくるとことか
無駄にきわどい洋服とか
Aとは正反対で胸焼けがする。

誰といても俺の頭の中はAでいっぱいで
だからか、ついに幻覚が見えるようになったのかもしれない。

前から歩いてくるのはAそっくりの女の子
隣にはやけに身長が高い男。
いかにもエリート、そんな感じ。

楽しそうに歩く姿もその笑顔も
俺は見たことがなかった。

幻覚だ、これは。
そう言い聞かせるけど近づくにつれて
それは全否定される。

向こうも俺に気づいたのか足が止まる。

慶「A？着いたよ？」

身長の高い男がはっきりとそう呼んだ。
俺の頭が何かに強く殴られた気がしたと同時に
Aと呼ばれた女の子が倒れる。

とっさに行こうと動いた身体、
でも受け止めたのは隣の男だった。

耳元で囁き、それにまた囁きで返す。

俺が知らないAの姿。

無性にイライラして物に当たりたくなった。

「ねえ貴久、貴久ってば。」

そんな俺を現実に引き込む声。

貴「ん？ああ、なに、」

どうして、今、俺の隣にいるのはAじゃないのか。
数時間前まで隣にいたAが今は物凄く遠く感じた。

「知り合い？誰なの？」

まあ、所詮そんなもん、そんな世界。