第10夜 ページ12
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A「神田はあんな態度だけど、根はいい奴なんだ、あまり悪く思わないであげて…」
Aの表情がいつもの柔らかい表情になる。
きっと、今から神田のいい部分が見えてくるはずなんだろう。うん、きっと。
Aに迷惑かけたくないから神田とは仲良くしないと。と誓ったアレンであった。
アレン「…そういえばAはいつから教団にいるんですか?」
A「ううん…あんまり覚えてないなあ…馬鹿な話だけど、昔の記憶飛んじゃってるんだよね。」
笑い話にするAに、アレンは少し呆れたようだった。
昔の記憶が無いということはかなり辛いはずだ。
A「じゃあさ、今度は僕が質問していい?」
ベッドにぶら下がっている足をバタバタさせながらAが言った。
アレン「いいですよ」
アレンが答えると、Aはアレンの顔に手を伸ばして、白髪の前髪を避けた。
A「これ、なに?」
前髪を避けると、額のペンタクルが露になる。
アレン「……これは…」
別に、特別この話を話したい訳でも無かったし、したくない訳でもなかったが、Aには、話しておきたい、と思った。
アレンはAに、過去を話した。
愛する人をアクマにしたということを。
そして、その人を自分が殺したということを。
A「………そうだったんだ。」
Aは俯いた。
アレンは過去を話したことを少し後悔した。
もっと自分に気を遣わせてしまうんじゃないかと思ったからだ。
A「…アレンはつよいんだね」
アレン「…へ?」
Aの顔を見ると、涙を滝のように流し、鼻水を出して泣いていた。
アレン「エッ、A?!」
A「アレン、君はやっぱり強いよ……きっと僕ならそんなに頑張れない……話してくれてありがとう」
アレンあせってティッシュを渡すと、Aはそれで勢いよく鼻をかんだ。
A「…あ、つい長居しすぎちゃった。そろそろ部屋に戻るよ。アレン、疲れてるのにごめんね。」
Aはベッドから立ち上がり、ドアノブに手をかける。
アレン「ああいや、いいんです。楽しかったですし。おやすみなさい、A」
A「おやすみ、アレン。何か他に聞きたいことあったらまた聞いてね」
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零斗 - とても面白かったです!これからも更新頑張って下さい! (2019年1月3日 18時) (レス) id: 300461bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんね | 作成日時:2017年2月1日 0時