優しい先輩 4 (ページ11)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:27,468 hit

11 MS ページ11

「Aは俺のこと勘違いしてる」

『？』

「こんなこと言ったら
Aのことガッカリさせるかもしれないけど。
俺、ソヨンちゃんの気持ちなんて
どうでもよかったよ」

俺はAが思ってるほど優しくもないし。
確かにソヨンちゃんのこと嫌いなわけじゃないから
言うときは気が引けたのは事実だけど。

「それで俺に関わらないなら、
Aの不安がなくなるなら
俺とAが元に戻れるなら
ソヨンちゃんが泣いてようが、傷つこうが
俺にはどうでもいいことだって思ってたよ…」

こんな俺、がっかりした？
Aの思ってる優しいミンソク先輩じゃなくて
ごめんね。

『私もミンソク先輩にガッカリされるかも…。
そんなこと聞いても…少し嬉しいって思ってる』

「A、俺はAに言った言葉で自分が傷ついたことなんてないよ？
これから先もしあったとしてもAが傷つくくらいなら俺が傷ついたほうが100倍マシ」

Aの目に涙が溜まっていく。

「もう、我慢しなくていい？
Aのこと…抱きしめていい？
嫌なら…振り払ってくれていいから」

Aの華奢な肩に触れて細い腰引き寄せると
小さな手が俺の背中に触れてそこからじんわりと
体全体が温かくなっていく感覚。

「拒否してくれないと…俺、調子にのるよ」

『のって…ください…』

サラサラと揺れるAの髪に指を通すと
俺を見上げるAと視線が絡む。
親指で涙を拭ってあげると、溢れてくる涙を我慢してるのか下唇を噛んでる。

「噛んでたら…キスできない」

下唇を離したAにそっとキスをする。
唇が離れると潤んだ目のAが俺を見上げる。

「もし、これが喧嘩なら仲直りしよう。
すれ違いなら元に戻そう」

『…終わっちゃったかと思った』

「勝手に終わらせないでよ(笑)
俺、Aが…Aだけが世界で一番好きだよ」

『私もミンソク先輩が好き…』

Aが俺の腕の中にいる。
やっと触れられた。

「おかえりA」

『おかえりミンソク先輩』

「Aはただいまでしょ？」

『…私もミンソク先輩待ってたのに？』

「離れて行ったのはAでしょ」

『ミンソク先輩です！』

「俺達、もっと話さなきゃいけないことありそう。
またすれ違ったらどうしよう」

『信じる努力します。
それに、すれ違ってもまた元に戻すんでしょ？』

Aが俺を見ていたずらに笑うから
俺もAを見て一緒に笑った。