ストロベリーホーム 2

意地vs意地 ページ44

「なーミンソク」

「はい？」


裏で作業をしてた俺に店長が空になったお皿を持ちながら店内に目配せをして驚いた顔をする


「お前の知り合いの席ピッチ早いな」

「あーヨンジヌナ酒豪だから」

「違う違う、ヨンジちゃんじゃなくてもう1人の子」

「え？」

「ジュリちゃんでもない女の子、そうえば名前知らないな」

「…ちょっと行ってきていいですか？」



作業を中途半端に残しみんなの席に急ぐ
ジュリでもないならAちゃんしかいないじゃん
賑やかな店内を早足で進み、みんながいる部屋を覗くとテーブル下には飲み終わったグラスやジョッキが並べられ、俺に気づいたチャニョルの声にみんながこっちを見る
Aちゃんは顔を赤くして眠そうな目を俺に向けた


「ちょ、飲みすぎ」

「ヨンジオンニは元々だけど今日Aオンニもいけるらしい」

「いけるらしいって」

「Aちゃんお手洗いから帰ってきたら今日は飲み倒す！とか言って、ねー？」

「そうそう、ヌナいきなりスイッチ入ったみたい」

「きっとお酒に頼らないとやってけない事があったのよ」

「えーオンニが？」


みんなの会話を聞きながらAちゃんを見るとヨンジヌナの焼酎を手に取ったから慌ててそれを奪った


『うぁ』

「もうダメだって」

「ヒョンー土足厳禁ー」

「あー脱ぐ脱ぐ」


靴を脱いでAちゃんの横に座り水を差し出したけどブンブンと左右に顔を振られる


「オッパ本当世話好きだね」

「ヌナだけね」

「ヒョン〜僕にも世話して〜おやすみ」

「あっイーシンオッパ起きてよ！」

「僕今寝てる〜」

「Aちゃん、ちょっと外行ったほうがいんじゃない？」

『ヤダ！』


拒否された言葉が鈍器で殴られたみたいにガツンと頭に響く


「ぶはっ、拒否」

「ミンソクかわいそう〜」

「…そんな事言ってないで行く！」

『やだやだやだ』

「ほら立って」

『やだぁー』


こんなに拒否されるのもショックだけど俺も意地だ
無理矢理と言っていいくらいAちゃんを立たせて腕を自分の腰に回し右手で押さえ逆の左手をAちゃんの腰を掴む


「行くぞ！」

『やだぁ』

「捕らわれた宇宙人並だね」

「てかヒョンが必死すぎ」


半ば引きずられながら出てった2人に”行ってらっしゃーい”の声が部屋に響いた

跳ね上がる心→←ヤキモチ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す